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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ375

「目達原のAHー64に通知する。こちらJASDF(航空自衛隊)、8thウィング(第8航空団)のギャオス03(戦闘機のコールサイン=仮称)だ」呂論島の島民が鹿児島県の国分駐屯地の知り合いの陸上自衛官に連絡した情報は陸上自衛隊らしく指揮系統を通じて西部方面総監部にまで上がり、地上掃射のため佐賀県の目達原駐屯地からAHー64攻撃ヘリコプター2機が発進し、熊本空港に同居する高遊原駐屯地からは北熊本駐屯地の第42即応機動連隊の1個小隊を搭乗させた第8飛行隊のUHー60多目的ヘリコプター5機が上空で合流することになっている。しかし、AH―64の最高速度は365キロ、UH―60は265キロなので到着までに島民が皆殺しにされて中国軍が堅牢な建物を陣地にすることが懸念されていた。そんなAHー64のパイロットは思い掛けない相手からの航空無線を受信した。
「実は俺たちが先に呂論に向かうことになった。サンセット(南西防空指令所のコールサイン=仮称)からストレート(西部防空指令所=仮称)にオーダーが入ったんだ」「了解、アンタたちのFー2ならアッと言う間に到着してゴミ掃除してくれるだろう」「俺たちは大雑把だから後片づけを頼みよ」どうやら別の島民が那覇基地の航空自衛隊の知り合いに通報したらしい。こちらは航空自衛隊らしく指揮系統を無視して直接南西防空管制隊の事務室に電話したのだが舞台裏は誰も知らない。実は呂論町の町役場も漁港から銃声が聞こえ、それが連続していることを確認した時点で沖永良部島の警察署に連絡していた。沖永良部署も島内の派出所と警察官に連絡が着かないことで異常事態を確信して鹿児島県警に通報していた。するとこちらも指揮系統を守って九州管区警察局への報告を優先した。やはり航空自衛隊だけはアメリカ製だ。
「戦闘機が低空で接近してきます。攻撃態勢です」呂論島の集落で家屋を捜索している中国軍の指揮官の軍士がスマートホンで空港の孟少校に連絡してきた。日本に留学して帰国後に人民解放軍に入った孟少校が呂論島への侵攻の指揮を命じられた時、連隊の上層部は「日本軍(自衛隊)はいまだに戦時態勢に移行することが許されていない。国民も戦時中と言う意識を持っていない。気軽な仕事として日中戦争の仇を討ってこい」と笑っていた。確かに抵抗は一切受けず予定通りに町役場と空港を制圧した。ところが牧場に集めて皆殺しにする予定の島民は戦時の行動の熟練しているかのように完璧に身を隠している。そのため捜索に飽きた兵士たちは集落の路上で車座を作り、民家から奪った家電製品や貴金属を持ち寄り、食品を分け合いながら酒を飲み始めていた。そこに防衛出動が発令されていないはずの自衛隊が攻撃してきた。
「島民からの情報では屋外で行動しているのは敵だけだ。道路に沿ってブロー(発砲)しよう」「ラージャ、目視での射撃だから戦果の確認をお願いします」集落を通過したFー2は路上の6名を目視で確認して海上で旋回した。相手は兵士なので時間を要せば退避してしまう。そうなれば爆弾を投下して集落を破壊しなければならない。
「やはり退避したな。爆弾を1発使用します」「投下後にバランスを崩すな。JDAMだから一発必中だろう」「そうでした」やはり兵士たちは戦闘機が低空で通過していったのを見て退避行動を取っていた。第8航空団では防空戦闘をデニム、対艦攻撃をギャオスに割り当ててそれぞれ空対空ミサイルと空対艦ミサイルや対艦誘導爆弾を搭載して待機させている。ちなみにFー2には戦闘機としてはヴァィパー・ゼロ、攻撃機では対艦番長の愛称がある。今回は予備機として500ポンド(227キロ)爆弾4発を搭載していた2機を発進させたが、JDAMは91式爆弾誘導装置の赤外線に変わる精密慣性誘導方式で本来は対艦攻撃用なのだが、勿体ないだけでここでは重宝する。
「照準完了、アプローチ(接近)します」「ラージャ、コンテニュー(続行)する」道路に面した商店と小テインの間に逃げ込んだ兵士たちは路面に残した戦利品、中でも酒を眺めていたが、そこに黒い影が凄まじいジェット音を引き摺りながら通過し、空気を引き裂く音に見上げた瞬間、道路の中央で赤い炎が発生した。いくら堅牢な鉄筋コンクリート製の家屋でも500ポンド爆弾の直撃を受ければ掩体(防護物)の用は為さない。この集落の6名は遺骸も残さず全滅した。
「敵の姿が確認できなかったから荒っぽいが集落を丸ごと破壊してきた」「了解、今度は俺たちが低空、低速度で念入りに掃討しよう。地上部隊の降下はそれからだ」2機で8発の爆弾を各集落に配り終え、沿岸道路を高速度で走行していた軽4輪トラックもバルカン砲で破壊したFー2は奄美諸島を南下するAHー64に接触すると戦果を通知した。
「茶実地区は建物が多いから市街戦になるな。今頃、ウチの飛行隊は対地攻撃に武装転換しているはずだから援護には間に合うはずだ」「それは有り難い」説明しながらFー2のパイロットは奈良の幹部候補生学校の戦史の研究課題になったミッドウェイ作戦の敗因の1つ爆弾の対地用から対艦用への転換の可否を思い出したが陸の前川原では出題されそうもない。
  1. 2023/01/21(土) 14:13:41|
  2. 夜の連続小説9
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