これまで「鰻」「刺身」「豚カツ」「ハンバーグ」と肉魚を食べられない修行僧が煩悩に駆られて研究している「もどき」料理が続きましたので今回は「ステーキもどき」といきたいところですが、それに類する料理が稀代の美食探求家・北大路魯山人が随筆「夏日小味」の中で「雪虎」と言う名前の料理として絶賛にしています。あまりにも簡単なので応用編として「竹虎」も紹介します。
材料
豆腐 1丁(市販の揚げ出し豆腐を使えば1から3は省略できる)
雪虎は大根 多めに下ろす。
竹虎は青葱(厳密に言えば葱は薫香野菜なので精進料理としては禁止)
醤油 少々
生姜 少々
「揚げ出し豆腐」の作り方
1、重しを載せて豆腐を十分に絞る。水気が残ると油が撥ねて危ない。
2、 3枚に切る。
3、 180度の食用油で1枚ずつ浮いてくるまで揚げる(途中で引っ繰り返す)。
「雪虎」の作り方
4、 冷ましてから弱火で表面が焦げるまで焼く。熱した金網か金属棒で縦の焦げ線=虎の模様を入れる。ただし、野僧は全面が焦げるまで焼いた方が香ばしくて美味しくなるように感じています。
5、 大量に下ろした大根を十分に絞って上を覆うように載せる。この姿が雪の中の虎のように見えることが名前の由来。
6、 好みで生姜を載せ、醤油をかけて食べる。
「竹虎」の作り方
5、筒切りにした青葱を豆腐の上に並べる。この姿が竹藪に潜む虎のように見えることが名前の由来。
6、醤油をかけて食べる。
本当は揚げ出し豆腐や板蒟蒻をステーキ風に調理できれば独立した「ステーキもどき」になるのですが、何度か試みているものの他人に紹介できるような料理になりません。曹洞宗の某寺院ではお庫裏さん(奥さん)が法要の裏方を務めた若い坊主に「自作精進料理」として網目状に筋を入れた板蒟蒻を焦げるまで焼いてステーキ・ソースをかけてナイフとフォークで食べさせましたが、残念ながらあまり美味しい料理ではありませんでした。

雪虎(醤油をかける前)
- 2023/02/01(水) 14:34:29|
- 月刊「宗教」講座
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