fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

われらが青春の漫画家・松本零士先生の逝去を悼む。

2月13日に野僧にとっては「戦場漫画シリーズ」「インセクト」「セクサロイド」「ガンフロンティア」「男おいどん」「大四畳半物語」「聖凡人伝」「わだち」(=SFアニメは対象外)、一般的には「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「キャプテンハーロック」などで青春時代を彩ってくれた漫画家の松本零士先生が亡くなったそうです。85歳でした。
野僧と松本作品との出会いは寺の叔父が毎週購読していた少年マガジンを読むようになり、小学校4年だった昭和46(1971)年から「男おいどん」の連載が始まったことでした。松本先生は小倉の高校を卒業して上京しているので「男おいどん」は本人がモデルなのでしょう。同じ四畳半の安アパートが舞台(メガネの大家の小母さんも同じ)でも毎回のように性的描写が入る「大四畳半物語」「聖凡人伝」は妄想だったのかも知れません。
中学生になるとテレビでは「宇宙戦艦ヤマト」の放送が始まりましたが「アルプスの少女ハイジ」の裏番組だったため見ることはなく、むしろ小学生の頃から陸軍少将の息子の祖父の影響をもろに受けた軍隊少年だったため「戦場漫画シリーズ」を熟読するようになりました。松本先生の父親は陸軍航空隊の搭乗員で、大刀洗基地で勤務している時に久留米で生まれ、敗戦後は夫婦の故郷の愛媛県に帰り、「アメリカ製の飛行機には乗らない」と航空自衛隊への入隊を拒否して野良仕事で生活した硬骨漢だけに当時の他の漫画家たちのような反戦臭がなく、何よりも登場する兵器が極めて正確に描写されていて、高校時代に熟読した松本先生のアシスタント出身の新谷かおる先生(キャプテンハーロックのヤッタラン副長のモデル)の「戦場ロマンシリーズ」と共に自衛隊での戦史研究につながりました。ただし、松本先生の「戦場漫画シリーズ」は後半になると未完成や量産化が間に合わず戦線投入できなかった兵器が登場して活躍する話が増えて真実味が薄れたのは残念でした。そんな機械へのこだわりは「銀河鉄道999」の蒸気機関車が客車用のC62なのにも現れています。他の漫画家であれば知名度が高いD51を貨物車用であることも知らずに使ったでしょう。
その一方で思春期の始まりでもあり、主人公のユキ7号が毎回、強制性交されかけて未遂で終わる「セクサロイド」に始まり、毎回、シヌノラがされてしまう「ガンフロンティア」、そして早名礼子が色っぽい「聖凡人伝」なども愛読するようになりました。しかし、松本先生の性交シーンは女性の体型が現実離れしている上、描写が抽象的で乳頭も描いていないなど性的興奮の発火剤にはなっても燃料にはなりにくい面がありました。またモデルは「美人漫画家の奥さんの牧美也子先生だ」と言われていましたが松本先生自身が「シーボルトの孫娘の楠本高子の写真を見て一目惚れした」と告白していました。
野僧は小浜の僧堂の秋托鉢で行った敦賀市で中心街の歩道をシンボルロードと呼んで「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」の登場人物(アナライザーもあった)の銅像28体が展示してあるのを見ました。ただし、鳥取県の境港市の水木しげるロードに比べると縮小の度合いが強く、形状が複雑なだけに迫力・存在感が劣りました。硬軟両方の影響を与えていただいたことに感謝しながら冥福を祈ります。合掌
ユキ7号セクサロイド・ユキ7号の未遂シーン

  1. 2023/02/22(水) 14:22:40|
  2. 追悼・告別・永訣文
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<続・振り向けばイエスタディ408 | ホーム | 続・振り向けばイエスタディ407>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8253-2204bd9d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)