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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ408

「昨日の午後3時25分頃、治安出動中の陸上自衛隊西部方面航空隊が本県下関市内で双木外務大臣の暗殺を狙う韓国海兵隊の工作員2名を処置しました」双木外務大臣が2泊3日の日程を終えて早朝の民間機で宇部山口空港から東京に戻ると村山県知事が緊急記者会見を開いた。3日前に下関市内の喫茶レストランでMK3手榴弾が爆発して1名が死亡した事件については小伏警察署が開いた記者会見で「爆発物は調査中」「威力から見て建設工事用のダイナマイトかも知れない」と発表している。運よく暗殺要員もMK3手榴弾を携帯していたので持っているはずがない屯田局員が疑われることはなさそうだ。
「韓国の現政権は日米に擦り寄って中国や北朝鮮とは敵対しているんじゃあないですか。どうして双木外務大臣を狙うんですか」「質問は指名を受けて下さい」「A日新聞山口総局の南です」記者たちも下関市でも旧豊浦郡の農道でパトロールカーが不可解な事故を起こして警察官2名が死亡し、隣接する山間部で陸上自衛隊のヘリコプターが地上を銃撃したと言う市民からの通報を受けている。しかし、山口総局だけでなく県内各支局の記者たちも双木外務大臣の取材に総動員していて独自に取材する余力はなく、県庁や県警本部が公式発表しなかったため記事にできず東京への情報提供もできていなかった。その焦りがこの質問に表れているようだ。
「私は韓国の国内事情を説明する立場ではありませんが、対馬のレーダーサイトが韓国軍の地対地ミサイルで破壊されたのは政権交代後でした。それを考えると軍に対する政治統制が機能していない。末端まで徹底できていないのかも知れません」「やはり軍の一部の過激派の暴走ですね。有り難うございました」韓国のマスコミと協力して反日世論を扇動しているA日新聞としては適当な落とし処を作って印象を操作すれば十分だった。実は村山県知事は対馬から避難してくる島民を県内の過疎集落に受け容れた時、双木外務大臣から韓国軍では金大中政権以降、アメリカや日本との同盟関係の堅持を主張する軍人が根絶され、高級幹部から士官学校を終えたばかりの尉官まで親中親北朝鮮反米反日で思想統一されていると説明を受けていた。
「今回の大臣の帰宅は私的休暇だったんじゃあなかったんですか」同じ頃、東京の首相官邸では閣議を終えた双木外務大臣が記者たちの囲み取材を受けていた。双木外務大臣も自宅で全国区のニュースを確認していたので国営放送を含むテレビ各局が山口県での警護を過剰警備と批判的に報道していたことは知っている。しかし、移動中にスマートホンで視聴した報道バラエティー番組は断片的になり、どの程度の批判なのかは承知していなかった。東京のマスコミは山口県が韓国軍の暗殺要員の潜入を察知した村山県知事の判断で陸上自衛隊に警備への協力を依頼して万全な態勢を敷いていたことを知らないまま「地元選出の加倍首相が奈良県警の警備の不手際によって暗殺された怒りを万全の警備を誇示することで示そうとした」と勝手に解釈して報道していた。その一方でA日新聞の系列局の夜の報道バラエティー番組では常に皮肉を弄するキャスターが「加倍首相の暗殺に怯えた双木外務大臣が山口県知事に圧力をかけたのではないか」と話題を締め括っていた。その前には双木外務大臣が元防衛大臣であり、今も自衛隊内では多くの信奉者を有していることを説明しながら空港での人の盾や軽装甲機動車の警護、そして上空を飛行するAHー64攻撃ヘリコプターの映像を流していたので鵜呑みにした視聴者も少なくないはずだ。
「はい、そうです」「首相の公務出張でも警護に自衛隊を使いませんよ。それが攻撃ヘリまで飛ばして。いささか分不相応ではないですか」これは昨日の定例記者会見で立野官房長官が「現在の緊張状態の中では要人の警護は可能な限り厳重にする必要がある。今後は石田首相を含めて実施を検討する」と回答していたがこの記者は蒸し返すつもりらしい。
「当然、ヘリコプターや装甲車の燃料代は大臣が支払われるんでしょうね」「私は日本国の石田内閣の外務大臣であることが警護対象なのであって公的と私的の時間で立場が変わる訳ではありません。今回の帰宅中に警護に当たった警察や自衛隊は公的職務になります。したがって私費で弁償する理由はありません」マスコミにはかつての東京都知事が神奈川県内の私邸に公用車送迎させていることを「公費の無駄だ」と批判して辞任に追い込んだ戦果があるが、今、双木外務大臣を失う事態を生起させれば国家の危機を招来することは記者にも判っている。その時、記者たちがスーツのポケットに入れているスマートホンが一斉に着信を知らせた。
「大臣は山口県内に暗殺者が潜入していることをご存知だったんですか」「うん、情報としては聞いていた。秘書は自衛隊のヘルメットとボディ・アーマー・ベスト(防弾チョッキ)を着ていけと言ったんだがサイズが合わなかったんだ」「大臣には執務がありますからこの辺で」編集部からのメールで山口県知事の発表を知った記者たちが態度を変えると双木外務大臣はジョークで返した。そこで人垣の外から外務省の官僚秘書が取材の終了を宣言した。
  1. 2023/02/23(木) 14:29:20|
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