2014年の明日2月27日にウクライナ領のクリミア自治共和国で西側ではロシア軍の兵士と推察されている武装勢力が自治政府庁舎と議会を占拠し、翌日には国籍マークを消した輸送機で飛来した兵士たちがベルベク空軍基地とシンフェロポリ空港を占領する事件が発生しました。
この事件に先立つ2月26日には数千人の親ロシアのコサック系住民と同程度のイスラム系タタール人住民が衝突したためプッチン政権は軍にロシア西部と中部での演習を命令して臨戦態勢に移行させていました。
議会を占領・封鎖した武装勢力は銃口を向ける中で議事を開会し、親ロシア派と反ロシア派による内戦状態に陥っていたウクライナで成立した反ロシア派の暫定政権を承認した自治共和国首相を解任して親ロシア派の新首相を任命させたのです。ところがクリミア議会によるこの解任と任命は自治共和国憲法が定めるウクライナ大統領の同意を得ておらず、議事が非公開で出席者が半数以下だったことが明らかになったため無効とされました。するとロシア系住民は新首相を支持して非ロシア系住民と抗争を繰り返すようになり、3月1日にロシア系住民がロシア政府に親政権の擁護を求めたためプッチン政権がロシア上院に軍の派遣の承認を求め、「ウクライナ及びクリミア自治共和国で同国の社会、政治情勢が正常化するまで軍事力を行使すること」が全会一致で可決されたのです。この議決に「ウクライナの正常化」が入っていることが2022年3月24日のウクライナ本国への軍事侵攻の政治的根拠になっているとも言われています。
これを受けてクリミアでは夜間に真っ黒に塗装した戦車と戦闘服ではない黒ずくめの服装の集団が軍隊式の行動で国境を突破して自治政府の施設や治安機関、放送設備を占拠したため3月2日に在クリミアの軍人では最高位になる海軍少将の総司令官が降伏して海軍の司令部を明け渡しました。ちなみにこの総司令官はロシアによるクリミア併合後にはロシア海軍の黒海艦隊副司令官に就任しています。
それからの動きは練りに練ってあったように迅速かつ着実で3月3日には黒ずくめで侵入した集団がロシア軍であったことを自己申告するように軍の増派を発表する一方でクリミアに駐留するウクライナ軍に投降を勧告し、3月5日までに投降させると大半をロシア軍の契約軍人として雇用しました(今回のウクライナ侵攻に参加しているかは不明)。3月7日にはクリミア議会がウクライナからの分離とロシアへの併合を求める議決を可決し、ロシアへの併合の可否を問う住民投票を3月16日に実施することを採択しました。
そして住民投票の結果は96.6パーセントが併合支持だったと言われていますが、今回のウクライナ侵攻でロシア国内の世論が政権によって操作されている疑惑が濃厚になって、西側諸国ではこの投票も住民の意思を反映しているとは受け止められていません。
それでもクリミア議会はこの住民投票の結果を受けて3月17日にウクライナからの分離とロシアへの併合を決議し、プッチン大統領が3月18日にクリミアの独立を承認した上でロシア上院は3月21日にクリミアの併合を全会一致で承認したのです。
- 2023/02/26(日) 14:09:41|
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