明日4月4日は「4」を「フォー」と読む語呂合わせからベトナムの麺食品・フォーを新たなブランド「フォッコリ気分」として売り出していたエースコックが2016年に日本記念日協会に登録した「フォーの日」です。ただし、英語で4月は「エイプリル」なので語呂合わせは「フォー・デイズ」の日付だけです。
野僧がベトナム料理を食べたのは東京・目黒基地のSOC課程に入校した時に田舎では口にできない珍しい料理を食べ歩いている同期に連れられて専門店に行った一度だけですが(当時でも福岡や浜松にならありそうですが愛知の田舎ではタイ料理まででした)、麺は名古屋のきし麺か、大分県の痩せ馬に似た幅広で平たい饂飩のような外見と食感でしたが小麦粉ではなく米粉で作るのだそうです。
何よりも違うのは汁で日本の麺つゆではないのは当然としても中華風のスープとも全く違い、どちらかと言えばコンソメ・スープに近い洋風の味がしました。考えてみればベトナムはフランスの植民地だったので本格的なフランス料理が定着していて現地の麺類がスパゲティ代わりに用いられるようになったのかも知れません。
すると退役後の仕事で知り合ったベトナム人との雑談の中でベトナム料理についても聞くことができましたが、フォーはベトナムでも北部のハノイ地方が発祥で金属板に水に漬けた米を挽いて広げ、固まったところで細く切って麺にするそうです。つまり手延べではなく麺打ちに分類されるのでしょう。一方、スープはフランス料理として普及したポトフ(コンソメ味の肉じゃが)をベースとして中国のビーフンを使った麺料理と融合する中で麺が地元の食材であるフォーに替わって発展したと言うのがそのベトナム人の見解でした。
一方、南部ではフォーよりもフーティウが一般的だそうです。それでも両者の違いはベトナムではフォーが生麺として売られている(輸出用は乾麺)のに対してフーティウは半生麺の状態で店先に紐などにぶら提げて売っていることくらいですが、スープやつけ合わせは中国系移民が持ち込んで定着していたところにカンボジアから独自に発展していた調理方法が入ってきて現在のベトナムでは定番料理とされるフーティウができたそうです。
それなのに何故、東京の料理のガイドブックに載っているベトナム料理の専門店が「フォー」をコース・メニューにしたのかは不明ですが、ベトナム戦争終結時には旧・南ベトナムの人々が多数世界各地に亡命として移住したものの近年、急増しているベトナム人留学生や技術実習生たちの出身地を新聞などで見ると首都・ハノイなどの旧・北ベトナムが大半なので(旧・東西ドイツと同じく競争原理が働かない社会主義圏では個人の能力が磨かれないようです)こちらが定番になったのかも知れません。ただし、大阪の老舗インスタント食品メーカーのエースコックは現在、収益の3割をベトナムで上げている現地の麺類最大手であり、ベトナム国内のインスタント麺類の65パーセントを占めているのですから単なるイメージ戦略ではない説明があって然るべきでしょう。
要するに東京風の黒い麺つゆと関西風の透明な麺つゆのどちらが日本の饂飩なのか、素麺と冷麦、饂飩と蕎麦のどれが日本の麺類なのかと言うような話ではありますが。
- 2023/04/03(月) 15:31:49|
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