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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ464

北海道東部では第5旅団が勇戦している。航空自衛隊が緒戦の損害で千歳基地のFー15の2個飛行隊と百里基地と浜松基地に展開している生き残ったFー35とFー15で能登半島以北の日本海も防衛しなくてはならなり制空権は不安定になっていた。そのため知床半島から住民が避難した後、知床半島から釧路、根室半島に配置した高射特科群の改良ホーク、高射特科隊の11式短SAM、さらに普通科連隊の携帯SAMで国後島から襲来するロシア軍の攻撃機と攻撃ヘリコプターを迎撃していた。ところが内局の官僚が財務省に予算請求する弾薬の数量は弾薬庫に保管できる1回の会戦程度のため全弾を射ち尽くすのに時間はかからなかった。ロシア軍はそれを待ちかねていたかのように手持ちのミル26大型輸送ヘリで地上部隊を侵攻させたが、それでも揚陸艦や大型フェリーを持たないため戦車や自走砲などの戦闘車両を揚陸させることはできないでいる。一方、第5旅団は地域住民が避難する前から日本最大の矢臼別演習場に旅団司令部の陣地を構築していて北部方面隊も道北での阻止が成功したのを確認して第7師団の3個戦車連隊のうち1個連隊を投入して第5戦車隊に合流させた。
「レーザー測遠機、目標捕捉」「目視確認」「前方、5300(メートル)海上、大型車両を乗せた連絡船の模様、標津(しべつ)漁港に向かっています」「射程距離に入った時点で攻撃する。船橋を狙え」「了解、射撃準備。装薬温度計確認。横風センサー確認。射撃制御機に入力」ロシア軍は島と島を結ぶ連絡船のような貨客船にトラックを乗せて標津町と根室市の港に運び込んでいる。それでも1隻に1台しか乗せられないので街外れの海岸線にまで前進した戦車に狙い射ちされていた。惜しむらくは90式戦車と10式戦車の120ミリ戦車砲の有効射程距離は約1800メートルとされているためこちらに来る目標でなければ逃げられる可能性が高い。本来であれば第5特科隊の99式155ミリ自走榴弾砲で砲撃するべきなのだが巨体が目立つため海上の警備艇に発見されると国後島から地対地ミサイルを射ち込まれる危険性が高く戦車の任務になっている。小型船の攻撃が本業の北部方面対舟艇対戦車隊は根室側に配置されていて96式多目的誘導弾が活躍しているらしい。
「距離1800.射程距離に入りました。装弾よし。照準よし」「連続3発射、射撃用意」「射撃用意」「射て」「射て」ズーン、ズーン、ズーン。防波堤から砲塔だけを出した状態で90式戦車は3発を連続発射した。数秒後、海上に浮かぶ黒い点が船に見え始めていた目標が炎を発した。船舶は正面の断面が小さい上、構造も堅牢なため砲弾や魚雷が命中しても舷側に流されてしまう。そのため海戦では側面を向け合って砲撃戦を交すのが一般的だ。しかし、ここでは到着する港の横で待ち構えているのだから正面からの射撃にならざるを得ず先ず船橋を狙った。
「2発命中、船体が右に曲がります」「側面に10発連続射撃」「装弾よし、装薬温度よし、射撃制御機に入力。射撃準備よし」「射て」「射て」ズーン、ズーン、ズーン・・・・「5発命中、乗せているトラックが炎上したぞ」車長の目視の確認に射撃手と操縦手も表情を緩めてうなずいた。90式戦車では砲弾の装填が自動化されているため74式戦車のような装填手は乗っておらずその分、弾薬の搭載量が増えている。
「グズグズしてるとミサイルが発射される。退避する」「了解、このまま海岸線を突っ走ります」戦果の確認は手短に終えて車長は安全確保のための退避行動を命じた。国後島からの地対地ミサイルだけでなく警備艇や上陸している歩兵も携帯式対戦車ミサイルを装備しているため存在を暴露すれば速やかに退避するのが原則なのだ。それにしても自衛隊の戦車は集中配備している北部方面隊でも戦車帝国・ロシア軍とは比較にならないほど少数なので演習の仮想敵として演じる以外、横一線に並んで地域を制圧し、占領地域の緊要所に配置されてトーチカになる本来の使い方をされるとはこの3人も思っていなかった。演習でも身を隠して敵の戦車を待つ自走対戦車砲扱いだった。ところがこの実戦では敵は戦車を持たず生身の歩兵が上陸している。移動手段のトラックでさえ届かず、ロシア軍の方がヨーロッパや北アフリカ戦線で戦車やトラックが活躍した第2次世界大戦と同じ時代の支那事変で「徐州徐州と人馬は進む」と広大な大陸を馬と徒歩で移動した帝国陸軍のような状態になっている。それはノモンハン事変でも戦車で攻めよせるソ連軍を関東軍は徒歩で配置について掘った蛸壷壕で迎え討ったが、停戦後の昭和20年8月18日に千島列島北端の占守島に上陸してきたソビエト連邦軍の歩兵上陸部隊だけは帝国陸軍の第11戦車連隊から痛撃を受けている。ただし、日本軍の95式戦車はアメリカ軍のM2重機関銃の12・7ミリの銃弾が貫通するような装甲で主砲は口径37ミリ、最高速度は時速40キロと言う戦車と呼んで良いのか判らない代物だった。それでも北部方面隊第11旅団は第11戦車連隊の勇戦を継承して「士魂」を合言葉にしている。ここでは第11旅団は参戦していないが「士魂」を発揮して占守島の仇を討ちたいものだ。
  1. 2023/04/20(木) 16:13:13|
  2. 夜の連続小説9
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