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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

5月8日・ゴーヤーの日

5月8日は1997年に沖縄県と全国農業組合連合会=JA全農が制定した「ゴーヤーの日」ですが、単に語呂合わせだけでなく沖縄では連休明けのこの時期からゴーヤーの出荷が本格化することにも因んでいます。補足すれば数字を引っ繰り返した8月5日を「裏ゴーヤーの日」にしてここまでをキャンペーンの期限にしています(実際はここからが需要と出荷の最盛期ですが)。
野僧が沖縄で勤務していた頃は亡き妻を含めてシマンチュウ=島衆=沖縄県民は「ゴーヤー」と呼んでいましたが最近は「ゴーヤ」と切るようになっているようです。野僧の記憶では沖縄本島と周辺の島々では「ゴーヤー」、宮古島周辺は「ゴーラ」、八重山地方では「ゴーヤ」、野僧が行った奄美の世論島と沖永良部島では「ニギャグリ=苦瓜」や「トーグリ=唐瓜」だったので、八重山の小浜島を舞台にしたNHKの2001年の連続ドラマ「ちゅらさん」で「ゴーヤ・チャンプル」と呼んでいたのが広まったのかも知れません。しかし、あのドラマは小浜島でもヤイマムニ(八重山方言)の「クヨナーラ=こんにちは」「オーリトーリ=いらっしゃい」ではなく「ハイサイ=こんにちは」「メンソーレ=いらっしゃい」と挨拶していたので方言指導はそれほど正確ではなく、ナイチャア=内地者=本土人の主演者たちが聞きかじりで短縮したのかも知れません。
沖縄のゴーヤーは農学や園芸学では蔓に生る果実のイボに覆われた外観と完熟すると表皮が甘くなる(中身ではない)性質がレイシ=ライチに似ていることから「ツルレイシ」と呼ばれますが生物学では苦い瓜で「ニガウリ」になっているようです。
野僧は沖縄の藪などに黄色い果実をつけたゴーヤーが自生しているのを見て「沖縄原産か」と思って亡き妻と調べるとインドネシアやボルネオなどの東南アジアが原産で室町時代に中国経由で移入され、慶長8(1603)年に長崎で刊行された「日葡辞典=宣教師が作った日本語とポルトガル語の対訳辞書」にゴーヤーを示す単語が掲載されていたそうです。つまり自生しているゴーヤーは鳥などが栽培していて完熟した実を啄んで飛び去り、糞をした中に種子が入っていて発芽したのでしょう。
また当時は沖縄と奄美以外では鹿児島や宮崎、熊本などの南九州でしか栽培しておらず、「ニガウリ=苦瓜」と言いながら瓜には見えない姿は同じでも日照不足なのか沖縄産の「私は苦い」と表示しているような濃い緑に比べて色が薄く、太さも半分しかないので奇形の胡瓜のようでした。それでも当時の沖縄ではウリミバエと言う果実や瓜などに寄生する外来の害虫が発生していて拡散防止のためゴーヤーの本土への持ち出しは禁止されていたので沖縄の代表的家庭料理=食品として実家で味見させることはできませんでした。
現在はガンマ放射線を浴びさせて繁殖能力を奪ったウリミバエを大量に放す不妊虫放飼で死滅させましたから大丈夫ですが、本土でもゴーヤーは夏バテ予防の食品として定着し、2階や軒の5メートル近くまで成長する上、葉が茂るため学校や住宅の日除けとして栽培されるようになっています。それでもナイチャアの高齢者は油で炒めるゴーヤー・チャンプルは口に合わず、胃にもたれるそうで天婦羅にする人が多いようです。
  1. 2023/05/07(日) 15:35:45|
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