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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ492

「今の戦争は局地戦の様相を呈しますから日本でも戦場とそうではない地域の格差は著しいですね」生活の再開は梢に任せて最高検察庁に出勤した私は市ヶ谷地区の警務隊本部へ出かける前に事務局に顔を出して雑談を始めた。最高検察庁は官公庁が一般的に用いる「中央」ではなく「最高」と断っているように法曹界で選び抜かれたエリート中のエリートが集まっていて建物内の空気まで緊張感が充満している。その点、一般の事務職員が勤務している事務局は大学中退のまぐれ当たりで司法試験に合格した私にはホッとで一息つける空間だった。
「東京でも一時期は銃撃事件が多発して街を脅えながら歩くようになりましたが、自衛隊が治安出動して銃器の一斉摘発を進めたおかげで元の生活に戻れました。ウチとしては銃の不法所持で立件して中国と韓国に強制送還するのに大忙しでしたけど。そうそう北朝鮮は国交がないから中国に押しつけたんですよ。そこは外務省が上手くやってくれたみたい」事務局の机が並ぶ広い部屋の中央の応接セットに腰を下ろすとお茶を出してくれた中年の女性事務職員は私の感想に体験した実情を説明してくれた。今は以前と変わらぬ生活ができているが開戦当初にはやはり内戦に近い状況が生起していたようだ。
「そうなると首都圏の自衛隊が新潟に派遣されると治安の維持が難しくなるでしょう」「そこは何万丁単位の拳銃と弾丸を摘発して同じ数の持ち主を国外退去させたんだから警察で大丈夫です。それに・・・」女性事務職員は何かを言いかけて口ごもった。不自然に壁時計を見たのは「戻って仕事を再開しなければならない」と言い訳するつもりなのかも知れない。そこで私は機先の制して昨日の推理を質問として投げかけた。この検察庁の内部事情に精通している女性事務職員なら何かを知っているはずだ。
「それでも日本国内に行き渡っていた拳銃と弾丸が中国製なら組織的に持ち込まれたんじゃあないですか。手引する工作員が残っていれば同じような銃撃事件が再開されます」「それは大丈夫です。でもこれ以上は言えません。知らない方がモリヤ検事のためですよ」自衛隊でも「異動や昇任の人事情報を知りたければ人事部の女性事務官か出入りの保険屋の小母さんに訊け」と言われていたが、人事部の女性事務官は常に幹部の会話に聞き耳を立てて出入りする隊員の表情を観察して長年の経験で培った推理を働かすので驚くほど正確に人事を予測していた。保険屋の小母さんは各職場での雑談で噂を拾い集め、時には本人の愚痴や自慢を聞くのでこちらも的中率は高かった。昔は基地の正門前の飲み屋のママさんも入っていたが、最近は仕事帰りに一杯飲む習慣がなくなったのでそれ程でもない。
「やはり100人以上遺骸で発見されている在日中国人や半島人は密輸や銃撃事件の首謀者なんですね」「流石は情報が早い。勿論、秘密区分に該当しない最高度の秘密です」市ヶ谷地区の警務隊本部へ行って陸海空の担当者たちと新聞記事に関する雑談を交わす中で私は繁華街の路地で発見された在日中国人の話題から推理を披露した。頭の中では朝山元3佐を実行者として推定していたが「知り過ぎている者」にならないように控えた。
「私はヨーロッパでISのテロと治安部隊の戦闘を見てきましたからこの程度の処置は常識の範疇だと思っていますが、日本の場合はその常識が非合法なのが問題ですね」「加倍政権の頃は管(くだ)官房長官に直接報告すれば関係する部署に手配して処置してくれたんですが、石田首相は旧加倍派の立野官房長官の執務を監視しているから危ない橋になっています。それでも関係部署は日本の国内法の欠陥が非合法にしているとの認識で隠蔽措置を継続してくれているので何とかなってます」先ほど「最高度の秘密」と釘を刺した当人が具体的に内部告発し始めた。これは私が戦争犯罪の公判に着手した時、中国が内乱を画策していた事実が必ず役に立つと言う考えがあるのだろう。
「もう1つ、新聞の戦況の誤報を禁止することはできないんですか。コンビニで買って読み比べても先日、統幕(統合幕僚監部)で聞いた話と違いすぎて呆れてしまいました」「自衛隊がゲリラ戦術として打撃を与えて撤退すると敗走と断定するから困ります」「自衛隊としては戦況を公表できないから誤報を訂正することはできない」「ネットで誤りを指摘してるんですがマスコミは自衛隊が記者発表しないのは劣勢に陥ってるからだと反論して水かけ論争になっています」余程、大量の苦虫を噛み潰したのか説明する陸海空の担当者の表情は嘔吐のようになった。
私自身もカンボジアPKOではマスコミが派遣した記者たちが現地人への取材で反日感情を煽る質問を繰り返すのに対処し、阪神淡路大震災でも悪意に基づく粗探しに悩まされ、北キボールPKOの現地人との闘争を殺人として刑事告発された時にはマスコミが有罪判決を下していた。あの時は愛知県の両親に取材して「罪を認めて償え」「こんな人間になったのは自衛隊のせいだ」と言わせていたことを拘置所で牧野弁護士から聞いた。おまけに外務省の人妻の事務官を泥酔させて犯し、沖縄返還の密約を持ち出させた西山太吉事件を模倣したように二村由美事務官と不倫関係になって私の個人情報を探った珍騒動もあった。これらの経験がイージス護衛艦・あまごと漁船の衝突事故の逆転勝訴につながったのだが、やはり不倶戴天の敵だ。
  1. 2023/05/18(木) 15:07:18|
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