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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

5月30日・コスモ・スポーツが発売された。

昭和42(1967)年の明日5月30日に東洋工業=マツダがロータリー・エンジン車・コスモスポーツが発売しました。この頃の日本ではトヨタが昭和40(1965)年にスポーツ800、昭和42(1967)年に2000GT、日産も昭和44(1969)年にフェアレディZとイギリスのジャガーEタイプを思わせる流線形の車体のツーシーター・スポーツカーを市場に投入していてマツダはそこにロータリー・エンジンを搭載したコスモスポーツを投入したのです。
 初代コスモスポーツはトヨタのスポーツ800と2000GT、日産のフェアレディの前部にはあった空気取り入れ口をバンパーの下部に配する飛行機と言うよりも宇宙船を思わせるデザインで、1971年から放送された「帰ってきたウルトラマン」では車体の中央から左寄りに赤いストライプを入れただけでMAT(モンスター・アタック・チーム)の地上活動用車両(MATの日本本部は東京湾の海底にあった)・マットビハイクルとして使用されています。その前作のウルトラセブンでは地球防衛軍・ウルトラ警備隊の同様の車両は重装備のポインター(原型はクライスラー・エンペリアム・カスタムの中古車)だったのに比べても116.5センチの車高やロータリーエンジン特有の唸るようなエンジン音と共に近未来を感じさせる車体でした。ウルトラマンの科学特捜隊は銀塗りのシボレー・コルベアでしたが。
ロータリーエンジンはそれまでの4サイクル・エンジンがピストンの上下運動で行う吸気・圧縮・燃焼・排気の4工程を三角形のローターをダルマ型の筒の中で回転させてで切れ間なく実施するため小型・軽量のエンジンで高出力・高速度を得ることができる。特に「低振動なので戦車に最適」と世界各国が早い段階から開発を進めていました。1957年に西ドイツのNSUとWankelが共同開発に成功してNSUが初のロータリー・エンジン搭載車・ヴァンケル・スパイダーを発売しましたが、円筒内部の金属摩耗の問題が解決できておらず2375台を売ったものの1回だけの限定車種になってしまいました。続いてNSUから特許権を譲り受けて開発に着手したのがマツダで金属摩耗の防止策の研究に全力を傾注した結果、エンジン主要部の鋳造法の改良と鋳造後の焼き入れ、さらに高強度のカーボン材にアルミを染み込ましたシールを貼り、摩耗しても容易に交換できる改良によってコスモスポーツの発売を実現しました。
しかし、コスモスポーツはロータリー・エンジンが絶え間なく吸気・圧縮・燃焼・排気を繰り返すが故に燃費が極めて悪く、その悪評が広まったため初期型の価格は大卒者の初任給が2万6千円だった時代に148万円でトヨタ2000GTの238万円の半額でもスポーツ800の59万円の3倍弱、フェアレディZの84万円の2倍弱で、販売台数は1176台とトヨタ2000GTの337台には勝ったもののトヨタ800の3131台、フェアレディZの8万台(アメリカでは55万台)には遠く及びませんでした。それでも同型のロータリー・エンジンを搭載したサバンナRX3は日本のツーリング・レースでのスカイラインGTRの50連勝を阻止しています。
結局、1970年のオイルショックが追い打ちをかけてロータリーエンジンの開発に社運を賭けていたマツダは経営危機に陥ってフォードに身売りすることになりました。2018年に販売を終了したRX8が最後の動力用ロータリー・エンジン搭載車になりました。
  1. 2023/05/29(月) 15:10:49|
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