「やはりそうきたか」「これでは赤化教員狩りの再現になってしまうが仕方ないな」「同時に高校生、中学生の自衛官の娘を保護しなければいかんぞ」長野県警には松本市内での会合=決起集会に参加していた自治労の代表から通報が入っていた。県庁と市役所や町村役場の自治労の組合員たちは県知事が2期目の選挙からは共産党を除く全政党丸抱えで立候補して6倍(4期目は10倍)の得票で圧勝してからは元エリート官僚らしく自民党とも強調しているところを目の当りにしているため勝手な思い込みで暴走している教員の組合員たちとは一線を画しているのだ。一方、長野県警は山岳救助で松本駐屯地の山岳レンジャー=クレージー13とは協力関係にあり、航空自衛隊の小松救難隊に出動を要請することが多いので自衛隊との一体感が強い。
「対馬の自衛隊官舎襲撃事件を参考にしているなら長崎県警が提出した調査報告書を読んだが、官舎の規模が全く違うぞ」「そこまで綿密な計画ではないんだろう。欲情に駆られて暴走しているだけだ」「教員ともあろう者が・・・信じられん」話し合っている警察官たちにも子供がいて小中学高校に通わせて教員に預けてきただけにこの破廉恥な犯罪計画を俄かには信じられなかった。特に組合員は人権尊重を教育の場で実践していて児童や生徒の悩みに真摯に向き合い、強圧的な学校の決定に生徒の声を代弁して反対する理想の教師に映ることが多いから尚更だ。
「最近の先生は長時間労働と苦情処理に追われてストレスを溜め込んでいるから発散できるネタが見つかると制御が効かないくなってしまうんだろう」「以前、ネットのギャンブルにはまって負けた料金が払えなくなって強盗殺人を犯した中学校の教員がいたが、アイツも生徒やPTAの評判は悪くなかったみたいだからね」「自衛隊の妻なら政治闘争って口実も付けられる」犯罪者の論理を補足した警察官は夫の職業で政治闘争の標的にされる妻たちの立場を思い新たな怒りが湧いてきた。昭和の学生運動では自衛官以上に実際に鎮圧にあたる警察官が攻撃対象になっていて多くの先輩たちが殺害された。仮に今回の政治闘争の標的に警察官も加えられれば自分の古女房も餌食にされかねない。そう言えば最近は御無沙汰だった。
「名古屋では自衛官の娘が拉致されて暴行を受けた事件もあったぞ。あれも教員が手引したんだった」「それでも教員と実行犯は変死したんだろう。愛知県警は親父を疑ったが出動中でアリバイは完璧だった」警察官であれば性的暴行の被害者の事情聴取や法医診断、現場検証などを経験しているが純潔を奪われた性被害は子を持つ親として許し難い。あの女子中学生も案内を頼まれて車に乗り、郊外に連れていかれて暴行を受け、純潔を奪われた上に2人の男に代わる代わる何度も犯された。しかもスマートホンで撮影した動画を韓国の日本人女性の性的暴行の場面を公開している愛国サイト「日本の女を慰安婦にしろ」に投稿されて癒しようがない傷を負わせられた。思春期を迎えた女子中学生であればこれから恋をしてその相手と初体験するませた夢を見ることもあるはずだが、この自衛官の娘には心の傷が甦るだけだ。
「松本駐屯地には官舎の妻たちにドアと窓に施錠して絶対に開けないように徹底させよう」「それでもベランダから乱入される惧れがあるぞ」「やはり機動隊を派遣して阻止するべきじゃないか」「犯罪行為がなければ逮捕はできんからな」警察には警察なりの限界があり、それが通常の社会生活を阻害するような過剰な法令の連発につながっているのだが、ここでも限界が見えた。
- 2023/06/05(月) 15:03:33|
- 夜の連続小説9
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