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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

第127回月刊「宗教」講座・精進料理教室11時間目

前回は米=飯は托鉢で集め、野菜は自給自足だった地方僧堂で満腹になるための食材だった大根の精進料理でしたが、今回は梅雨時には境内の竹薮でニョキニョキ生える筍を使った精進料理です。ただし、筍は土に埋もれている部分が柔らかくて美味しいので季節になると番人が指名されます。野僧の地方僧堂では支那竹=メンマが得意で好物の中国人の雲衲が筍番に立候補していて猪が喰い荒す音が聞こえると工具室から持ってきた鉈(なた)を持って飛び出して行きました。この雲衲は蝮を捕まえると焼酎漬けにしていましたが流石に猪肉入りの筍鍋にはなりませんでした。
また航空自衛隊の幹部候補生学校がある奈良基地には近くの法華寺の尼僧の墓苑が竹藪だったため大型連休が明けると連日のように筍の炊き込み飯になっていました。これは訓練が本格化する予告のようなものだったのですが、余り精がつく料理とは思えませんでした。ちなみに竹の北限は何故か航空自衛隊の北部航空方面隊と中部航空方面隊のバンダリー(境界線)と同じく岩手県から秋田県の中央部あたりで、そこから北は笹になります。

筍料理で初心者が頭を悩ますのは「灰汁(あく)抜き」なので先ずこれから始めます。
1、皮の剥き方・根の汚れた部分を薄く削ぎ取り、先端部は深く根元は薄く皮の厚さに従って切れ込みを入れ、そこに指を指し込んで一気に剥がすと簡単に剥ける。
2、米の砥ぎ汁か米糠を溶かした多目の水で茹でる。大きい筍は縦に2分して、えぐみを消すには少々の唐辛子を刻んで入れる。
3、沸騰したら中火に弱めて1時間以上は茹でて終わればよく洗ってから水に漬けておく。

筍の葛煮

材料(量は筍の大きさに合わせて)・筍、昆布出汁、醤油、吉野葛(なければ片栗粉)

作り方
1、筍を一口で食べられる程度に厚さ1センチほどの輪切りにする。太い筍は縦に半分、若しくは4分の1に割る。
2、鍋に昆布出汁を材料の八分目程度入れて浸し、そこに砂糖と醤油を1対3の割合で加え(濃い目の方が美味い)、落とし蓋をして煮つける。
3、煮汁が3分の1程度まで煮詰まったら水で溶いた葛粉を加え、汁にとろみが出るまで手早くかき混ぜる。

若筍煮

材料(同前)・筍、若布、味醂、砂糖、昆布出汁、塩,醤油

作り方
1、茹でた筍を一口で食べられる程度に厚さ1センチほどの輪切りにする。同前
2、若布を水で戻して芯の筋を取り、適当にザク切りにする。
3、鍋に昆布出汁を筍が完全に沈む程度まで入れて火にかけ、味醂、砂糖、醤油で好みに味付けする。
4、15分ほど煮たら若布を筍の上を覆うように入れて落とし蓋の代用にして、一煮立ちするまで煮る。
5、盛りつけは皿に筍を並べ、上に若布を広げて煮汁をかける。好みで胡桃などの砕いた木の実をふりかけても美味しい。

筍の味噌煮

材料(同前)・筍、味噌、調理酒、砂糖、胡麻油

作り方
1、茹でた筍を2から3センチの賽の目切りにする。
2、フライパンに多目の胡麻油をひき、切った筍を炒める、
3、味噌を筍の3分の1ほど加えてさらに炒め、調理酒と砂糖を加える。
4、汁の量を増やすために水を足して、そのまま汁がなくなるまで甘辛く煮込む。

筍の美味煮

材料(同前)・(新鮮で柔らかい)筍、醤油、砂糖、調理酒

作り方
1、筍を2センチくらいの厚さに切る。
2、鍋に筍が沈む程度に醤油、砂糖、調理酒を同量で入れ、落とし蓋をして中火で煮る。醤油は半分ずつ始めと終わりに入れた方が筍が軟らかく煮える。

筍と昆布の佃煮風甘辛煮

材料(同前)・使い残しの固い部分の筍、昆布、醤油、砂糖、山椒の実

作り方
1、筍を厚さ5ミリ程度に薄切りにする。全体に小さ目に切る。昆布を幅2センチ、長さ3センチ程度に切る。
2、鍋に筍と昆布、山椒の実に筍が沈む程度の水を入れて弱火にかける。
3、昆布が十分に戻ったところで同量の醤油と砂糖を加える。佃煮風にするのでかなり多目。そのため醤油は3度に分けて入れた方が美味しく仕上がる。
4、汁がなくなるまで煮込む。
番外編・支那竹=メンマ

材料・筍、中華スープ(湯で溶いて1合)、料理酒大匙1、醤油小匙2、味醂小匙2・胡麻油大匙1

作り方
⦁ 茹でた筍を一口大に切り、胡麻油で炒める。
⦁ 料理酒、醤油を加えて中火で煮る。
⦁ 汁気がなくなったら味醂を加えて更に水気を飛ばす。
※中国人の雲衲が勝手に買ってきた中華スープが精進料理に許されるかが議論になりましたがそれなりに美味かったので不問に伏されました。

野草山岳録・小浜の無名&貫君さん
地方僧堂での夜食(ドイツ人と中国人の雲衲と)
  1. 2023/07/01(土) 12:50:25|
  2. 月刊「宗教」講座
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