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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

体験談として語るNHK連どら「らんまん」の槙野万太郎

NHKの連続ドラマ「らんまん」の植物学者の牧野富太郎さんをモデルにした主人公の槙野万太郎くんは明治になる前から学問所・名教館で大学者の池田蘭光先生の英才教育を受けていたため極めて高度な知識と興味を持ったことは徹底的に探究する資質が備わっていて明治新政府が設置した尋常小学校の低レベルの授業を受ける苦痛に耐え切れず中退してしまいました。その後、周囲を巻き込みながら驀地(まっしぐら)に植物の道を突き進んでいく姿を描いていますが、最近は槙野くんの評価が高まったことで起きる周囲の人々の苦悩や葛藤が副次的な主題になってきたようです。
実は野僧も似たような経験の連続で、通っていた矢作南小学校では文部省のドルトン式教育=アメリカ式自主学習の研究指定校になったため授業は児童の予習の成果の発表と質疑応答で進められ、探求心は極めて強固になった反面、教員の言うことを素直に理解するだけの日本式授業は身につきませんでした。
そんな野僧は航空自衛隊でも探求心を発揮し続けましたが頭脳から思考機能が欠落している数学的要素が入る本業の航空機整備は何ともならず、増加警備勤務について航空基地の危うさを確信したことを切っ掛けに基地警備の研究を開始しました。ところが航空自衛隊には地上戦闘として基地警備を考えている人物は立場・階級を問わず皆無で前例としての戦史に始まり、合法的戦闘方法としての戦争法、基地警備戦術で陸上自衛隊や警察の機動隊に人脈を作って探求を続けるとやがて在沖縄アメリカ軍からの資料収集に発展しました。
同時進行で自衛官としての死生観を確立するために宗教の修行を始め、赴任する先々で高名な宗教者を訪ねて教えを受けるようになりましたが、その頃は従軍経験を有する人物が大半で自分の戦争体験を含めて宗教の本質を説き聞かせてくれました(何故か各宗派のトップに会う法縁が連続しました)。
野僧は航空自衛隊士官になりましたが、空将の司令官を擁する上級司令部と同居する基地の部隊では野僧の特異なキャラクターを活かそうとする上司に巡り合えるのに対して低レベルな部隊では目障りな出る杭として叩き潰すような取り扱いを受けました。仕事で出入りしていた陸上自衛隊の師団司令部で1佐の部長は基地警備に関する高度な質問に自分の部下の幕僚が答えに窮しているのを見て「自衛隊では部外や部内出身者が防大出身者を超える能力を発揮してはいかんのだ。分相応の仕事をしないと潰されるぞ」と助言してくれました。
それは退役後の坊主の世界でも同様で「寺を手伝ってくれ」と頼まれて通い始めても最初は重宝がっていた住職が毛嫌いするようになり、やがて口実を捏造して辞めさせられることが続きました。そんな住職の1人が別れ際に本音を語ってくれました。「アンタは人に劣等感を与える人だ。宗門の大学卒じゃなくて本山に修行に行ってないのに知識は大学で講義できるレベルだ。それを鼻にかけてくれればこっちも『修行もしてない癖に』と馬鹿にできるのに人一倍謙虚だ。今もワシのような俗物に遜(へりくだ)ってくれる。アンタは坊主としてやらなければならないと判っていても誰もやらないことを当たり前な顔でやってしまう。ワシは何時まで続くかと思いながらつき合ってきたが最近は自分を恥じるばかりだった」槙野くんもこんな感じなのでしょう。
  1. 2023/07/21(金) 14:34:06|
  2. 常々臭ッ(つねづねくさッ)
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