「米軍の哨戒機がロシア軍の輸送艦隊を撃沈したらしいぞ」「いよいよ参戦してくれるのか」新潟県を包囲するように展開している陸上自衛隊の各部隊にも「日本海を哨戒中だった在日アメリカ海軍のPー8対潜哨戒機がロシア軍の輸送艦隊を撃沈した」と言う情報が漏れてきた。陸上自衛隊では陸上総隊の指揮の下、平野が広がる山形県側から北海道第11師団の「士魂」戦車を加えた東北方面隊が進攻し、長野県との県境からは松本駐屯地の第13普通科連隊の主力と新潟県内西部にある高田駐屯地の第2普通科連隊、第5施設群に富士学校の特科教導連隊と戦車教導隊の東部方面隊が挟み撃ちにして、富山県側では金沢駐屯地の第14普通科連隊と久居駐屯地から展開している第33普通科連隊の第10師団が県境を固めている。現在の陸上自衛隊にとって最大の剣呑(危機)はこれまで新発田駐屯地の第30普通科連隊と湯沢町付近に展開している普通科教導連隊のゲリラ攻撃によって多くを破壊してきた新潟市付近のロシア軍の戦車や装甲戦闘車両とミサイル、火砲、そして弾薬が開戦前に補充されることなのでこれは吉報だった。ただし、在日アメリカ海軍の攻撃は揚陸艦の護衛に当たっていた駆逐艦が火器管制レーダーをPー8対潜哨戒機に照射したためROE(交戦規定)にしたがって武力行使したに過ぎず、日米安全保障条約が発動されたのでもアメリカ海軍のパイロットが義勇軍として参戦したのでもない。ただし、そのような詳細な情報が漏れてくるはずがない。
一方、東部方面隊の後方支援連隊ではイギリス人の義勇隊員たちが輸送や物資管理などで大いに活躍していて階級や年齢を問わず隊員たちは「日米安保条約よりも日英同盟の方が信用できる」と言い合っている。特にイギリスでは車両が日本と同じ左側通行なので運転席の構造も共通していて運転手として即戦力になったのは意外な収穫だった。
「県境を越えて新潟市に向かう侵入者が急増しています。基本的には逮捕していますが例の中国製の拳銃を携帯している者が多いので発砲せざるを得ません」そんな中、新潟と群馬の県境の谷川岳をくり貫いた清水トンネル3兄弟=関越トンネルと国道17号線を警備している第13普通科連隊の山岳レンジャー中隊では別の問題に直面していた。
陸上自衛隊が攻勢準備を進めるのに合わせるように自衛隊が警備に当たる主要幹線道路や鉄道の線路を外した隘路や登山道を抜けて新潟市に向かう侵入者が急増していて山岳レンジャー=クレージー13は本領を発揮しているのだ。それは長い新潟県と県境を接する福島県や長野県、富山県の警備隊からも同様の報告が上がっていて陸上自衛隊の攻勢に備えてロシア軍が兵力として在日中国人や半島人を動員したのかも知れない。
「本日も4名を射殺しました。いつもの通り身元を特定できるものは携帯していません」中隊長の安川1尉は現在は指揮下に入っている普通科教導連隊本部への定時連絡で3科の運用訓練幕僚に何度目かの報告を繰り返した。以前は在来線用の清水トンネルと新清水トンネルに上越新幹線用の大清水トンネル3兄弟と国道17号線を重点監視しながら補給物資を受領していたが、現在は谷川岳の登山道の清水峠にもレンジャーの行動単位としては2個に当たる歩哨6名を配置している。今日も動画のカメラを搭載した無線誘導式無人機で登山道を確認していて4名の登山者=侵入者を発見したが無人機に拳銃を発砲して撃墜したため狙撃して射殺した。その後、遺骸を確認したが登山靴は履いておらずジョギング用のジャージにウィンド・ブレーカーでナップサックに携帯食や飲料水は詰めていても身元を示す運転免許証や社員証、学生証、クレジットカードどころか現代人には必需品のはずの合うマートホンや携帯電話でさえ持っていなかった。
「現時点では中国共産党が国防動員法を発令したと言う情報は入っていないが、法治国家じゃあない相手が法的手続きを踏んでないからって安心するのは甘いよな」「国家情報法の時も公式には否定しながら在日中国人にスパイ活動を命じたんでしょう。破壊工作や拳銃の配布も共産党の密命です」中国共産党は毛沢東の狂気を踏襲・発展させていて常に戦時体制を維持・強化している。日本が大陸での戦線拡大に伴って制定した国家総動員法や反政府活動にまで取り締まり対象を拡大した治安維持法以上の戦時法を次々に成立させている。それで足りなければ共産党の命令一つで海外在住の中国人は国家への忠誠を果たすための自己犠牲を厭わないのだ。
- 2023/08/22(火) 14:49:23|
- 夜の連続小説9
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