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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

8月27日・現代郵便制度の完成者・ローランド・ヒルの命日

1879年の明日8月27日は利用者が重量に見合った切手を添付した書簡をポストに投函し、それを郵便局員が回収して宛先に配達する現代の郵便制度を国家事業として実現したローランド・ヒルさんの命日です。83歳でした。
ヒルさんは1795年にグレートブリテン島の南半分のイングランドの貴族階級でも傍系の家庭の次男としてウスターシャのキダーミンスターで生まれました。父親は将軍の弟でしたが熱烈な自由主義者で子供たちが就学年齢になると自分の理想を教育するために学校を設立して校長になりました。その理想とは「ボランティアの精神を養成する」「生徒の自由な発想を重視し、興味を持つように誘導する」「道徳を身につけさせる」「知識を詰め込むのではなく思考力を鍛錬する」「協調と思いやりの精神を育成する」と言う現代でも通用する先進的なもので閉鎖的な社会に疑問を抱いていた親たちが子供を入学させて学校としては充実しましたが、結果として多額の借金を抱えたまま早逝してしまい上級生になっていたローランドさんは兄と共に生徒でありながら下級生の教師になって働き(担当は得意だった科学と数学)、20歳で借財を完済すると32歳で校長になりましたが長年にわたり教育の理想と学校経営に現実の狭間で悩み続けたことが限界に達したようで間もなく辞職して1年間だけ牧師に転職しています。
その後、実用知識普及協会と言う団体の書記=事務職員になり、1837年にはイギリスに限らず中産階級にまで識字能力が広がっていたヨーロッパ各地で多くの事業者が開業して取扱量が急増する一方で過剰競争によって問題も生じていた郵便業務に関する政府の検討調査会に「郵便制度改革・その重要性と実用性」と言う論文を提出して改革の方向性を明示したことで政府や参入を考えている事業者だけでなく郵便を利用するようになっていた中産階層からも注目されました。
中でも画期的だったのがそれまでの配送制度が宛先までに要する費用も発送者に負担させていたのに対してヒルさんは郵便物を各地に設けたポストに投函させてこれを郵便局員が回収して宛先に選り分け(科学的合理主義者のヒルさんは運搬する馬車の中で地域内の区分け作業を実施させて時間の短縮を図った)、その分類に従って現地の郵便局が配達する方式にすることで料金も郵便事業者が取り扱う全ての書簡で分割できるようになり、0.5オンス=14グラム以下=おそらく葉書は1ペニー=現代の円換算で39円程度と言う極めて安価な料金設定を要求したのです。
この提案は1840年に議会に提出されて成立し、ヒルさんは新設された国の中央機関としての郵政局の職員として同年5月1日に世界初の郵便切手のペニー・ブラックと2ペンス・ブルーが発行され、6日から使用されるのに立ち会いました。
その後はロンドン北部の貴族の邸宅街・トッテナムのブルース館で暮らしながら1846年に郵政局次官、1854年には郵政局長官に就任して郵政事業に発展に尽力しましたが1860年に「ナイト」に叙勲され、1864年に退官してロンドン北部のハムステッドで亡くなりました。葬儀はウェストミンスター聖堂で行われました。
  1. 2023/08/26(土) 15:43:48|
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