前回は寺の裏山の土葬で人間の養分を吸った三昧所で採れる太い蕗を使った料理を紹介しましたので今回も山菜を使った料理にします。
最初に
蕨(わらび)に代表される山菜は山で採ってきたら速やかにあく抜きするのが調理の秘訣です。時間が経過するほど味と食感が落ち、これを某山寺と地域住民は「山菜が山に帰る」と言っていました。
あく抜きは藁(わら)や鉋屑(かんなくず)などの木材を焼いた灰をバケツに入れ、そこに湯を一杯に注いで半日ほど置くと透明な上澄み液と沈殿物に分かれるので、この上澄み液だけをすくって鍋に入れるのです。量は蕨が浸る程度で、これを沸騰させて、折れ曲がらない大き目の器にのせた蕨に注いで冷めるまで待ち、水洗いすれば完了です。灰が手に入らない時は重曹を使いますが、その場合は蕨に重曹を降りかけて浸るまで熱湯を注げば終わりです。重曹をかけ過ぎると妙な粘りが出てしまいますから適量を工夫して下さい。
蕨(わらび)と独活(うど)のうま煮
材料(量は使う山菜の量に合わせて)・蕨・独活・昆布・砂糖・醤油・塩
作り方
1、あく抜き・水洗いした蕨を5センチ程度の長さに切り揃える。
2、昆布出汁で煮汁を作る。量は鍋に敷いた蕨が浸る程度
3、蕨を鍋の底に敷くように並べる。
4、煮汁を注いで火にかけてから砂糖、醬油・塩を加える(醤油を加え過ぎると色合いが悪くなるので注意=独活も同じ)。
5、落し蓋をして弱火で15分ほど煮含める。
※ここまでで「蕨の含め煮」になる。
6、あく抜き、水洗いした独鈷を3センチ程度の長さに切り揃える。
7、皮を剥き、20分ほど水に浸す。
8、蕨よりも少し濃い目の煮汁で20分ほど煮含める。
9、両方を混ぜ合わせて器に盛る。
蕨の信田巻き
材料(同前)・蕨・薄揚げ・砂糖・醤油・塩・昆布・干瓢(かんぴょう)
作り方
1、油揚げを俎板に敷き、擂粉木などを転がして圧し,長い一辺を残してで3辺に包丁を入れて開き。熱湯をかけて油抜きする。
2、昆布出汁に砂糖と醤油を加えて煮汁を作る。
3、あく抜き・水洗いした蕨を鍋の底に敷き、薄揚げをかぶして浸る程度の煮汁を注いで15分ほど弱火で煮含める。
4、干瓢を水に浸して柔らかくする。
6、薄揚げを上げて煮汁を絞って広げ、その上に蕨を隙間なく並べ、薄揚げからはみ出した部分を切る、
7、薄揚げをグルグルに巻いて2、3ヶ所を干瓢で縛る。
8、煮汁で煮立てて火を止めて冷まし、冷めてから食べ易い大きさに切って器に盛る。
独活の酢煮
材料(同前)・独活・料理酒・砂糖・塩・酢・化学調味料
作り方
1、独活を3センチほどに切り、皮を剥いて暫く水に晒してから熱湯に入れてよく茹でる。
2、鍋に水、料理酒、砂糖、塩を入れて煮る。
3、煮汁に独活を入れて2から3分ほど煮立て、酢を加えて3分ほど煮る。
4、火を止めて暫く蒸らし、冷めてから出す。
※単独で出すよりも焼き物などに添えた方が味わいが増す。

これが独活です。
- 2023/09/01(金) 15:42:22|
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