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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ627

「それで殿下にお怪我はなかったんだな」「皇宮警察本部からは聞いていません」石田首相は現在では沖縄県と反日度を競い合っている広島県の出身だが通産官僚だった父親の方針により東京で育ち、小学校1年から3年まではアメリカの公立学校に通い、帰国後も東京で学んだ。高校を卒業したのは昭和51年だったが2浪したので大学に進んだ時には学園紛争は終息していた。一方、石田首相の父親は東京で学んでいたので難を逃れたが親族には被爆による死傷者が多く帰省する度に体験談を聞かされて育ったので反原爆の意識は東京の野党や反戦平和団体の活動家よりも強固なものがある。そんな石田首相は皇室に対して心の底から忠誠心を抱いているらしい。それは国家の危機に家族を海外に亡命させた君主として有り得ない態度を目の当たりにしても変わらない。
「暴徒たちは新潟から自衛隊を撤退させることを要求していたな」「そのようですね」立野官房長官は長いつき合いになった石田首相の口調で次の言葉が予測できた。そこで呼吸を計って釘でも杭並みの強大な一本を刺した。
「新潟ではすでに市街戦が始まっていました。住宅地を捜索中の自衛隊員が多くのPOM3で死傷し、ビルから狙撃を受けています。戦車もロシア軍の戦車と交戦して相互に損害が出ています」立野官房長官も秘書官に呼ばれてクジテレビで始まった1人目の女性アナウンサーの凌辱とリーダー格の暴徒の犯行声明を見ていたが、自衛隊が新潟市内に突入したのを確認したのは執務室に戻って防衛省の中央指揮所の映像を見てからだ。したがって犯行声明の時点で市街戦が始まっていたのかは不明だ。
「中止はできんのか」「戦闘の中止となると停戦です。自衛隊に撤退させれば敗走と言うことになります。現状は圧倒的に自衛隊の方が有利ですからあり得ません」立野官房長官の反論に石田首相は黙り込んだ。これまで妻が持ち込んでいた意識を失っていた5日間の数紙の新聞を熟読したが元外務大臣の割に軍事は門外漢なので解説なしでは理解できなかった。その石田首相は加倍内閣の外務大臣だった時、南スーダンPKOの日報隠蔽問題で防衛大臣が辞任したため10日間だけ兼務したこともあった。
「クジテレビへの送電を遮断できんのか」「それは警視庁が試みましたが即座に無抵抗の男性職員を射殺し始めたため送電を再開せざるを得ませんでした」「打てる手は打ってるんだね」今更のように石田首相は納得した。
「安藤社長はどういっているんだ」「先ほど話しましたが社員の生命を優先するように要望されました。女性としての名誉や尊厳が傷つけられても生きていれば回復する手立てはあるはずだと力説していました」「流石は安藤先生の息子だな」「ご高説ご尤もです」クジテレビの安藤社長の父親は少年期にカソリックの洗礼を受け、キリスト教を題材にした一連作品で有名な芥川賞作家だが、防衛省からの映像で力説していた要求は救出よりも制圧を優先するつもりでいる立野官房長官には迷惑な申し出だった。
「どうして・・・どうして私が」クジテレビでは事件発生から半日が過ぎても女性たちの凌辱の中継放送は続いている。報道部の控室から仕事の現場である報道スタジオに連行された女性アナウンサーたちは交代でキャスター席に座った暴徒に強制性交されて裸身と苦悶する表情を全国放送された。日頃は多くの局員が資料を抱えて足早に行き交う報道スタジオの廊下では手をついて座り込んでいる全裸の女性アナウンサーたちの嗚咽が響き、高級な香水と洗髪剤、汗の体臭が充満し、女性器から漏れ出た暴徒の体液が床を汚している。それを順番待ちしている暴徒たちが好色そうな視線を浴びせ、嘲笑していた。
スタジオの中では芸能バラエティーやインタビュー番組、クイズなどの収録現場から連行されてきた女優や歌手、明らかに未成年のアイドルから報道バラエティーのコメンテーターらしい女性お笑いタレントまで連行されていて同様に裸にさせられていた。
この卑劣な犯行映像は瞬く間にメールで拡散し、街中にはスマートホンで視聴する若者たちが人だかりを作っている。韓国の愛国団体が「日本人女を慰安婦にしろ」と題する日本人女性の強制性交動画のサイトを立ち上げた時には性的興奮よりも被害女性に同情し、怒り狂う若者が多かったが、それが常態化すると慣れてしまいインターネットに溢れているAVと同列に扱うようになった。今回も特に問題意識は持っていないようだ。
  1. 2023/10/03(火) 14:27:02|
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