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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ643

陸上自衛隊は普通科連隊による制圧後、先ず東北方面隊、東部方面隊、中国地方を担任する第13旅団を除く中部方面隊の各師団・旅団の施設大隊を派遣してロシア軍が新潟県内全域に設置した対人地雷POM3を中心とする地雷とブービートラップの撤去に着手した。続いて北海道と九州・沖縄を除く7個施設群を動員して破壊した新潟市内の瓦礫の撤去と復旧を開始する。私も戦闘の痕跡が抹消されてしまう前に現地調査に赴いた。今回も秘書として梢を同行させるが、戦時下のアフガニスタンにも通訳として同行させたので今更停戦後の元戦場を「危険だから」と禁ずることはできないのだ。
「モリヤ中隊長」「おう、安川1尉、大事ないか」JR西日本が上越線で臨時運行した列車が群馬県と新潟県の県境の大清水トンネルを抜けると自衛隊の関所があり、乗り込んできた指揮官は久居駐屯地の新隊員課程の教え子の安川和也1尉だった。安川1尉とは新隊員課程中に現在の妻との交際を巡る訴訟騒ぎに関与したため現在まで連絡を取っているが、松本駐屯地の第13普通科連隊が出動してからは音信不通になっていた。私たちは陸曹たちが乗車している官公庁の役人やマスコミ関係者の身分証明書と立ち入り許可証を確認している間にデッキで立ち話した。
「自分は山岳レンジャーとして県境の警備を命じられました。ここで新潟に向かう不法侵入者を阻止しています。ところが原隊(所属部隊)は新潟へ派遣されて長岡市内に着弾した弾道ミサイルで多くの戦死者が出ました」「ワシも今では部外者の国家公務員だから具体的な戦況は聞いていないが、ロシアが飽和発射した弾道ミサイルが長岡に着弾したことは知っているよ。その着弾地点に13普連が居たんだな」「そこまで詳しければ立派です。流石は中隊長ですね」私が断片情報を拾い集めて全体像を推理する得意技を披露すると安川1尉は教え子の顔になって感心した。
防衛省・自衛隊は北海道で陣地構築などの作戦準備をマスコミが弁護士団体と結託して執拗に妨害し、中国とロシアへの情報漏洩の気配も濃厚だったため戦況に関しては防衛秘密として一切公表しなかった。するとマスコミは自衛隊が設定した進入禁止地域に潜入するフリー・ジャーナリストたちが撮影してきた写真を購入して虚偽と歪曲の記事とニュースを報道するようになっていた。そのフリー・ジャーナリストたちの取材活動をロシア軍が黙認していたのはロシアや中国側の工作員と見ていたからだろう。
「それで聡美さんは官舎で留守番かね、それとも稲沢へ帰したのかな」「それが・・・」私は対話の流れで会ったことはないがよく知っている(久居では2人のハメ撮り画像を見てしまった)安川1尉の家族の生活を確認した。すると安川1尉は急に顔を強張らせて口ごもったが、十数秒後に息を吐くように説明を始めた。
「実は長野県では県知事以下の自治労や県教組が自衛隊の防衛行動に反対していて、松本の自衛隊を追い出して非防守県にすると言う活動を始めていたんです」「非防守県かァ、それは新手の反戦手法だな。流石に公務員労組には勉強家がおる」私が元国際刑事裁判所の検察官として感心すると安川1尉は立腹し、梢は困った顔をした。確かに新潟方面の開戦前後に長野県の公務員労組の活動家が長門と新潟の県境に人間バリケードを作って第13普通科連隊の派遣を阻止していたニュースは見ているが、持ち込んでいたPOM3が不時爆発して全滅したと言う結末の悲劇仕立てだった。
「息子の担任も教員組合の活動家で自宅に来て妻に他県に転居するように言ったんですが、妻が拒否すると麻酔剤を嗅がされて犯されそうになったんです」「未遂だったのね」同じような強制性交の経験がある梢が語気を強めて確認すると安川1尉は深くうなずいた。反戦平和=人命尊重を主張する活動家の性的暴行は女性の人格を否定する完全な自己矛盾だ。沖縄時代、同僚の内村3曹の妻も反アメリカ軍基地の署名運動でアパートに来た活動家に「夫は自衛隊だから」と断ると家に上がり込んで集団暴行を受けた。
「これで自宅に帰れるだろう。聡美さんを大切にしなさい」「心の傷を癒して上げて」「帰れば戦死した隊員の慰霊と部隊の再編が待っています。本当は近いうちにスイスの在外公館警備官になる予定だったんですが・・・」意外な結論に私と梢が顔を見合わせると通路を歩いてきた陸曹が「指揮官、終わりました」と声をかけた。
  1. 2023/10/21(土) 14:56:20|
  2. 夜の連続小説9
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