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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ654

「何だこれは・・・」「航空局からのフライトプランです。在日中国人をチャーター便で国外退去させると言ってきたそうです」新潟では中国地方を担当する海田市駐屯地の第13施設隊を除く本州各地から動員された施設群による市街地の復興工事、施設大隊による地雷の除去が軌道に乗り始めた頃、西部航空方面隊では異常事態に直面していた。
「しかし、旅客機を52機も着陸させるには駐機場が足りないだろう」「だから発着便が少ない山口宇部と広島、岡山に分散させたと航空局は言っています」航空自衛隊の警戒管制組織では国土交通省航空局が通知して来るフライトプラン=飛行計画で敵味方を識別し、該当しない航跡を「アンノウン(彼我不明機)」として対処している。ただし、飛行計画の受付は航空局の専権業務で航空自衛隊が口を挟む余地はない。
「岩国と米子を外したのは米軍と自衛隊の基地だからだろうが九州の空港は・・・」「関西の搭乗予定者に不便だからでしょう」担当者の空曹は航空局の説明を鵜呑みにしてその上で推理を働かせている。西部航空方面隊でも北海道に続き新潟でも勝利を収めたことで安堵感が広まり、緒戦で撃破した中国軍に対する警戒心は急速に薄れているように感じる。しかし、説明を受けている兵器管制幹部は真逆の推理をしていた。
「機種は大型機を選んだようだ。万が一、その旅客機に軍が乗ってくれば上陸を許すことになる。搭乗待ちとして在日の連中が空港に集まっていれば大部隊になるぞ。警察も国外退去するために集まっている人間を取り締まることはできないだろう」確かに機種は中華国際航空が保有する350人強弱が搭乗できるボーイング7474が10機、300人強のボーイング777が28機、300人弱のボーイング787が14機、300人強弱のエアバスA330が48機なので合計31000人を超える。
「航空局がそこまでやりますかね。国土交通省は海上保安庁も指揮下に入れているんですよ」「航空局だからやるんだ」国土交通省航空局は運輸省の時代から偵察航空隊のRFー4Eが北方領土のソビエト連邦軍基地の偵察写真を撮影するため根室に向かう飛行計画を提出するとそれが先方に漏れて決死の覚悟で上空を通過しても航空機は残らず格納庫に仕舞われて車両や人の姿さえも見当たらなかった。またレーガン大統領が来日した時、アメリカ空軍の専用機エアフォース・ワンは羽田空港に着陸したが囮の役目も兼ねる予備機は横田基地に下りた。ところが離日する時、航空局は予備機の飛行計画に大統領の行動として秘匿されている事項の記載が欠落していることを理由に却下したため囮として同行させなければならないアメリカ空軍が強行離陸(関東空域の航空管制権は横田基地が持っている)を突きつける事態になった。その他にも自衛隊と供用している那覇空港での執拗な妨害や航空管制レーダーによる自衛隊機やアメリカ軍機の行動の監視とマスコミへの通報などの敵対行為は日常的なのだ(実話)。
「国土交通大臣は留任したがウチのトップ(防衛大臣)と外務大臣は交代したばかりだ。まだ慣らし運転中では現場レベルで処理する事案にまで目が届くはずがない。中国はそれを狙ったんだろう」「今度の外務大臣はお婆ちゃんでしょう。大丈夫なんですかね」担当者の空曹は政治家に関する知識は人並みだが加倍政権の頃、夜勤で見る報道番組でオウム死刑囚の執行命令を一斉に決裁したことが報じられていて顔は憶えていた。
上山外務大臣は東京大学の同級生の元日本銀行職員と結婚していて夫婦円満らしいが、昭和28年生まれ世代では夫唱婦随が基本なはずだ。つまり首相に対しても夫唱婦随だから加倍首相の意向を酌んで死刑の執行命令にも署名・捺印したのであり、そうなると今度は弱腰の石田首相が手を焼いていた強硬派の外務大臣と防衛大臣が進めた現在の事態の火消しに走る可能性はかなり高い。
「先ず13旅団に通報することだな。後は戦闘機を随伴させるしかない」これは兵器管制幹部の独り言だった。兵器管制幹部は腹の中では陸上自衛隊に空港の周囲を固めさせて集まっている暴徒予備軍を封殺するのと同時に着陸した旅客機を警戒させ(緊急脱出シートを使えば数分で地上に離脱できる)、上空で迎える戦闘機には機内に多数の人間が搭乗していることを確認すれば別の空港に強制着陸させ、応じなければ撃墜することも思案している。とは言え空曹に大ぴらに語ることは控えた。
  1. 2023/11/01(水) 13:10:26|
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