fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ655

中国が通知してきた大型旅客機の大編隊の飛行計画を受けて航空自衛隊は西部航空方面隊防衛部の「兵員を搭乗させている可能性がある」と言う重大な懸念を認め、航空幕僚長が新任の大原防衛大臣に説明しようとした。ところが官僚の秘書官が面談を設定しなかったため終日の閣議に出席していた。内局の官僚たちは就任当初は前回に煮え湯を呑まされた祟神航空幕僚長の懸賞作文問題を利用して取り込むことに成功した釜田防衛大臣が防衛行動を指揮することで父親譲りの闘争本能が目覚めて陣頭指揮を執るようになった失敗を挽回すべく自民党内でもタカ派の代表格と言われる大原新大臣を篭絡しようと彼らにとっての反転攻勢を開始しているのだ。内局の動きを察知した航空幕僚長は双木前外務大臣、浜前々防衛大臣、釜田防衛大臣と共に自衛隊の行動を支えてきた立野官房長官に連絡を取り、閣議でこの問題を取り上げるように要請した。
「中国が正式な手続きを踏んでいる以上、我が国としては通常の旅客機として淡々粛々と対処するしかないでしょう」立野官房長官が事実だけを説明すると上山新外務大臣が即答した。この建前論に石田首相も満足そうにうなずいている。これが双木前外務大臣であれば所属派閥の官僚的事勿れ主義に背いて安全保障を優先した意見を述べ、それに立野官房長官と防衛大臣が同調して閣議は対中強硬論に支配されたはずだ。今は要注意の大原防衛大臣も新任だけに反応せずに先ずは周囲を窺ったので主導権は石田首相にとっては優しいお姉さんの上山外務大臣の手中に落ちた。
「確かに在日中国人が大挙して国外退去してくれれば治安上も有益です。これ以上、東京の大火災事件やクジテレビのような事件を繰り返されては自衛隊の治安出動が解除できなくなります」ここで新任の竹村国家公安委員長が同調した。竹村国家公安委員長は経済政策が専門なのでアメリカの企業経営者の前大統領と同様に安全保障や治安維持まで損得勘定で思考する不安がある。それにしても今回の組閣は適材適所からは程遠い派閥へのポスト割り振りによる党内での支持基盤固め以外の目的が見えてこない。
「この問題は外交問題でもありますが主管は国土交通省です。西藤大臣のご意見は」立野官房長官は加倍・管政権の閣僚と政治姿勢を引き継いでいた前の内閣とは一変した空気を実感しながら航空局を所管する一方で海上保安庁を指揮している西藤国土交通大臣に助け舟を求めた。勿論、多くは期待していない。
「上山大臣のご意見が常識的な対応でしょう。我が国は中国と戦争中ではないので国際法と国内関係法令に基づいて処理しなければなりません。ましてや国外退去を希望する自国民を連れ帰るために中国政府がチャーターした旅客機なのですから本来は成田や関空に着陸させるくらいの便宜を図るべきですが機数が多いので遠慮したようです」どうやら西藤国土交通大臣は閣議に出席する前に官僚から説明を受けているらしい。それに疑問や危険性を感じなかったのは「大臣室で題目を唱えていれば災厄は起こらない」と言う正大党員としての揺るぎない確信に違いない。西藤国土交通大臣は海上自衛隊の海上における警備行動が常態化して事実上の海戦が発生するようになって以来、大臣室での題目を続けていて尖閣諸島周辺海域で海警の巡洋艦に撃沈された巡視船は日本海でも救助に当たっているが航空自衛隊の救難機が攻撃を受けているのに対して海上保安庁に危害は及んでいない。実は西藤大臣は正大党や選挙区で「自分の題目のおかげだ」と自慢すると「大聖人菩薩の加護だろう」と苦言を呈されていた。
「それでも大型旅客機ばかりですからこちらに向かう機に武装した兵士を乗せていれば3万人近い兵力を内陸に侵入させることになります。それは極めて危険です」本当は大原防衛大臣に言わせたい反論を立野官房長官が投げかけた。大原防衛大臣は航空幕僚監部が内局に提出した航空総隊司令官からの意見書も見ていないようで立野官房長官の反論が防衛上の懸念であることに気がついて顔を注視してきた。
「ようやく新潟の一件も終結して以前のような平和を取り戻すために内閣が一致して全力を傾注しなければならない時に外国に疑いの目を向けるのは極めて危険だ」ここで石田首相が議論を総括した。どうやら石田首相は山口県選出の加倍首相、浜防衛大臣、双木外務大臣を吉田松陰の「尊皇攘夷」を継承する幕末の志士の残党と見ていたらしい。
  1. 2023/11/02(木) 14:58:18|
  2. 夜の連続小説9
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<11月3日・風船爆弾の実戦投入が始まった。 | ホーム | 第131回月刊「宗教」講座・簡単な精進料理教室15時間目>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8774-1aab15cc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)