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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ656

「今度の内閣では強硬な行動は許されんな」「強硬と言われても我々は武力組織としては常識的な、むしろ控え目に行動しているんです。これよりも消極的な防衛行動では我が国の領土を保全することはできません」「それは判って・・・いた」閣議の合間の休憩時間に立野官房長官は執務室から統合幕僚長に電話をかけた。航空幕僚長から中国の旅客機の大編隊の飛行計画が通知されたことを聞いて陸海空自衛隊を統括している統合幕僚長と連絡を取り、対応を話し合っていたのだ。しかし、広島の反戦平和団体の代表になったような石田首相とその保護者兼恋人のような上山外務大臣、閣議中も腹の中で「南無妙法蓮華経」と唱えていそうな西藤国土交通大臣、万事計算づくの竹村国家公安委員長の発言を聞いていると、これからは今までの防衛行動を戦争犯罪として断罪する令和版東京裁判が始まりそうな予感がする。石田首相はA級戦犯ではなく裁判長だ。
「そうなると旅客機を強制着陸させると言う空自の方針は却下、ましてや撃墜は・・・せめて陸自に空港を包囲させることは」「それも難しいな。おまけに広島空港、岡山空港では総理のお膝元だろう。反戦平和団体が在日中国人に貼りついて護衛しそうじゃあないか」立野官房長官の説明は冗談ではなく現状認識だ。石田首相の選挙区の広島市では自衛隊機が韓国軍に撃墜された時点から反戦平和団体が韓国側の虚偽の発表を事実として喧伝し、自衛隊の行動を憲法違反として批判してきた。特に中国が軍事介入して在日中国人が内乱を起こしたため自衛隊に治安出動が発令されてからは公然と取り締まりを妨害し、広島の国営放送がそれを肯定する報道を繰り広げてきた。それが石田首相の弱腰の原因だとすれば国家に対する反逆に等しい。
「それでは我々が腹を切る覚悟で殺(や)るしかないですね。もう時間がありませんから失礼します」「・・・すまん」立野官房長官の謝罪は暗黙の同意だった。現在は防衛大臣が出席しているため閣議室のモニターを市ヶ谷地区の防衛省・自衛隊の中央指揮所に接続していないが、議事進行を勤める官房長官の職権で中継画面を再開して自衛隊の独断行動を石田首相以下の閣僚に見せることを決めた。
「デニム18・2(ツー)Fー2、ノーマル・テイクオフ(通常離陸)・・・」石田首相が席に戻る前に立野官房長官が接続を指示すると閣議室のモニター画面に前内閣からの留任者には見飽きている中央指揮所が映し出された。中央指揮所では航空総隊指揮所の管制画面が投影されていて副大臣席では新任の宮谷副大臣が画面を注視している。映像の中で若手の官僚が宮谷副大臣の背後から耳元で何かをささやき、それを聞いて表情を引き締めたので閣議室に接続されたことを耳打ちしたようだ。やや対応が後手に回っているようだ。宮谷副大臣は東京大学卒なので統合幕僚長は11年先輩になる。
「デニム18って何だ」「航空自衛隊の戦闘機のコールサインみたいだ」新任の閣僚たちは休憩も必要最小限にして席に戻ってきたが始めて見る中央指揮所の映像に困惑しながら乏しい知識を交換し始めた。デニムは築城基地第8航空団の戦闘機だが画像ではすでに十数本の航跡が表示されているので接近する中国の旅客機を出迎えるために離陸を開始しているようだ。ただし、接続した時点では終わっていたが西部航空方面隊指揮所は戦闘機にSIF(敵味方識別装置)の表示を停止させている。国土交通省の管制レーダーでは機体からの反射波とSIFの発信電波を照合して画像表示するためこれを切れば自衛隊機の航跡を捉えることはできず行動を秘匿できるのだ。
間もなくモニター画面には戦闘機から撮影した大型旅客機の大編隊が映り、パイロットと春日基地の防空管制隊の兵器指令官との交信が流れた。 
「ストレート、ディス・イズ・ギャオス(第8航空団の別の飛行隊のコールサイン)26、タリフォー・ターゲット(目標視認)」「ラージャ、接近して機内の様子を確認しろ。窓の人影をタリー(視認)したら可能な限り数えろ」「ラージャ、そっちに気を取られると空中衝突しそうだぜ」航空幕僚長の意見では空のはずの機内に多数の人影があれば侵攻するための兵員を搭乗させていることになり、九州と四国の空港にも分散させて強制着陸させるが事前に陸上自衛隊が配備できなければ撃墜するしかない。画面では戦闘機が接近すると窓が一斉に閉められた。つまり大人数が搭乗していることになる。
  1. 2023/11/03(金) 14:58:37|
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