fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ670

「本日、中国が在日中国人の帰国用として飛行計画を通知してきた大型旅客機に軍が搭乗していたことが判明しました」立野官房長官の緊急記者会見は迅速だった。韓国、中国、ロシアとの武力衝突が始まって以降、公式発表が後手に回って中国が株式を独占する海外のマスコミによって先に発表した相手の主張が事実として報道された苦汁を呑み続けているのだ。日本と西ヨーロッパの時差8時間、アメリカ東海岸との16時間も計算して朝刊と朝のニュースの編集に間に合わせている中国の情報戦術には恐れ入ってきた。
「飛行計画では広島、岡山、山口宇部の各空港に着陸を申請していましたが一方的に伊丹空港、正式には大阪国際空港と成田国際空港に変更しました。ところが大阪国際空港で着陸した旅客機のタイヤがパンクする事故が発生したため関西国際空港に変更させたのです」「あの事故の影響かァ」伊丹空港の閉鎖はテレビのニュースにはならず字幕で流れただけだが、それも報道部の記者の仕事なので承知はしていた。
「そのうち2機が午前10時頃、関西空港に着陸しましたが確認のため接近した陸上自衛隊のヘリコプターを見て武装した部隊が緊急脱出シューターを使って機外に出て攻撃を開始しました」この模様は関西空港のターミナルから乗客がスマートホンで撮影した動画がテレビ局に投稿されて昼のニュースで流れていた。ただし、乗客は避難させられたようでその後の戦闘については管制塔から目撃していた航空局の管制官の口頭の説明の代弁だった。対岸の住民は駆けつけた警察が避難させたらしい。
「その銃撃戦によって銃弾が旅客機の燃料タンクに命中したようで2機が連続して爆発しました。地上に下りてヘリコプターを銃撃していた部隊も爆発に巻き込まれて全滅しました」「人数は」「2機で600名程度だったと思われます」予想外に多い人数に日本人の記者たちは驚愕したが母国との往復で頻繁に旅客機を利用している外国人の記者は「当然」と言う顔だった。それでも中国が110機の旅客機で日本国内に送り込もうとした部隊の規模を計算し始めると3万人を超えることが判り唖然とした。
「自衛隊はヘリコプターで攻撃したんですよね」「そのようです」「ならば爆発を狙って上から機体を射ったんじゃあないですか」この期に及んでも反自衛隊の論調している維持している新聞は存在する。そんな新聞の記者の質問は相変わらずだった。
「自衛隊機も攻撃を避けるために旋回を繰り返したはずなので狙って撃つだけの余裕があったとは思えません。実際、先発機が被弾して交代した後続機が接近した時に爆発したと報告を受けています」敵意を持つ記者も流石に「被弾した」と聞いて黙った。
「一方、2つに分かれた中国機の編隊のうち関西空域側は四国上空で着陸待ちの空中待機を始め、成田国際空港に向かった側は関東空域の管制権を持つアメリカ空軍横手基地に進入を拒否されてパイロットと国土交通省で着陸する空港の協議を始めていたところ突如として太平洋上を西に向かったのです」「中国に帰ったんですね」判り切った記者の確認に立野官房長官は無表情に首を振った。
「すると四国上空で空中待機していた中国機も南下して合流しました。ところがその海域には中国艦隊が展開していてアメリカ海軍が監視していたのですが、そこで数分の間に全機の航跡が消滅しました。後には機数分のエマージェンシー・シンボルが点灯しました。現在、海上自衛隊の護衛艦が現場海域に向かっています」」「げッ、口封じだ」記者の1人が口にした推理に各新聞社と系列テレビ局は論調通りに反応したが外国人の記者たちは自分の推理を巡らせ始めた。
「総理はこの件についてどのような対応を指示されたんですか」「総理は在日中国人の帰国と言う正当な目的のために正規の手続きを踏んで派遣してきた旅客機に軍が乗っているとは思いもよらず愕然とされています」「上山外務大臣は」「信頼を裏切られたと立腹しています」「沢国交大臣は」「責任を痛感されて憔悴しておられます」「大原防衛大臣は」「中央指揮所で指揮を執るために市ヶ谷へ戻る途中で事態が発生したようです。今回は関西空港の件以外に自衛隊はノータッチですから何もないでしょう」当たり障りなく関係閣僚の様子を解説したが実際は石田首相の衝撃は深刻で上山外務大臣に縋りついて泣き出しそうな風情だった。いよいよ退陣=試合放棄を考えるかも知れない。
  1. 2023/11/17(金) 14:09:53|
  2. 夜の連続小説9
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<11月18日・官営八幡製鉄所で作業開始式が行われた。 | ホーム | 共産党中国がパレスチナ和平を仲介したらどうするのか。>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8808-7468fd86
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)