fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

11月22日・ラヴェルのボレロが初演された。

1928年の明日11月22日に野僧の世代には昭和56(1981)年公開のフランス映画「Les Uns et les Autres(原題直訳・幾つかのそしてその他=邦題・愛と哀しみのボレロ)」で実際の天才バレエ・ダンサーであるジョルジュ・ドンさんが男性としては史上初のメロディ(中心で踊る主演)を務めた曲として強烈に記憶に刻まれているジョゼフ・モーリス・ラヴェルさんのバレエ曲「ボレロ」が初演されました。
「ボレロ」はハ長調の同じリズムの2つの旋律が最初から最後まで繰り返される極めて奇異な曲ですが、フルートのソロに始まりドラムの音が響く中、オーケストラを構成している楽器がそれぞれの個性を発揮して基本的な演奏時間の15分間とは言わず永久に聴き続けることができる怪しい魔力が隠されています。ただし、バレエ曲なのでダンサーが体力の限界になったところで終わりでしょう。
野僧は亡き妻との通っていたリバイバル映画専門の地下の映画館でこの映画を見て非常に感動しました。そこで冬のボーナスでビデオ・デッキを購入すると早速、レンタル・ビデオショップでテープを借りて翌日の返却時間までに3時間5分の長編映画を3回見て、さらに先輩のビデオ・デッキと接続して始めと終わりのバレエの場面だけをダビングして擦り切れるまで見ながら踊りをマスターしたのです。そのバレエを幹部候補生学校の出し物で披露すると映画を見た奴等は天才のジョルジュ・ドンさんと比べて「下手だ」と揶揄しましたが、見ていない連中は踊りよりもラヴェルさんの曲に魅了されていました。
この曲は新作バレエの劇中で「セルビアの酒場で1人の踊り子が舞台の上で足を踏み鳴らしている間に興が乗ってきて踊り出し、始めは無関心だった客も次第に引き込まれて一緒に踊り出す」と言う踊り子の役柄を演じるロシア系バレエ・ダンサーの依頼を受けて着手しましたが、「新作でなくても過去の作品の編曲を変えれば用は足りる」と考えて依頼人の承諾を得たところその作品はすでに別の作曲家が編曲していて、その作曲家から「お望みなら権利を譲る」と申し入れられたことで発奮して新たに作曲したのです。
ラヴェルさんはアメリカへの演奏旅行から帰って友人の別荘で海水浴を楽しんでいた1928年の7月に何度も繰り返しながらオーケストラの演奏でイメージを変化させる主題曲をピアノで演奏して披露すると10月までかけて完成させました。曲名はスペインの舞踊から「ファンタンゴ」と命名されましたが同じく「ボレロ」に変更されました。
初演は1928年11月22日にパリのオペラ座でイダ・ルビンシュタインのバレエ団が上演しました。ラヴェルさんは「この特異な曲は伝統を重んじる有名オーケストラが演奏することはないだろう」と勝手に諦めていましたが、翌年になってイダ・ルビンシュタインが保有していた1年間の演奏会場における独占権が失効するとヨーロッパ中のオーケストラが取り上げて人気の楽曲になり、1930年にはラヴェルさん自身の指揮とパリのコンセール・ラムルー管弦楽団の演奏でレコード化されました。そして日本では昭和6(1931)年1月28日に新交響楽団=現在のNHK交響楽団が常任指揮者のニコライ・シフェルブラットさん指揮で初演しています。
  1. 2023/11/21(火) 16:17:44|
  2. 日記(暦)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<続・振り向けばイエスタディ675 | ホーム | 続・振り向けばイエスタディ674>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8817-5ae57c76
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)