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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ691

「東シナ海では男女群島は岩礁で利用価値がないので一番手前にある五島列島が狙われるでしょう。五島列島は80キロの間に152も島があります。人が住んでいる島だけでも31です。フィリピン人義勇隊員の増員を受けたとは言え52名の警備隊単独で守備することは不可能です」「陸上自衛隊は新田原に第1空挺団を待機させて漁船団の攻撃目標が五島列島と確定した段階で空挺降下させると言っている。海上自衛隊も佐世保地方隊で接近を阻止すると言っている。上陸される可能性は低いんじゃあないか」同じ頃、福江島分屯基地の第15警戒隊の指揮所でも西部航空方面隊指揮所から届いた情報に対する作戦会議が始まっていた。現段階では中国が準備を進めているらしい漁船団による侵攻がどの程度の規模なのかも不明でこの第一報を受けて陸上自衛隊西部方面隊と海上自衛隊佐世保総監部が示した対応を評価することしか議題はなかった。
確かに前回の呂論島が防衛上は丸腰で単独の離島なのに対して福江島を含む五島列島は多数の島が分散しているので占拠するには大規模な部隊を投入しなければならない。その内の幾つかの島を奪取しても占領を維持することが不可能なのは中国にも判っているはずだ。何よりも呂論島はその前に海上自衛隊が中国海軍の輸送艦隊を撃沈して海洋輸送力を喪失したと考えていた裏を突かれる形になったが、今回は中国空軍の空輸能力の低さを旅客機で補完する悪足掻きを見ているので油断はない。
「しかし、通常の漁船では海上における警備行動の対象にならないので海上自衛隊が発見しても攻撃を加えることはできません。海洋法の場合、領海に入られても海上保安庁が臨検する以外に打つ手がないはずです」分屯基地司令を兼ねている第15警戒隊長の意外な他人任せの見解に副島1尉が黙ると兵器管制幹部の運用班長が異論を挟んだ。運用班長は第5術科学校で領空に関する講義を受けた時、興味を持って領海についても調べたようだが、領海については船舶が荒天時の避難として島礁を利用するため意外なほど自由な航行が認められていて上空からの偵察やミサイルによる攻撃の可能性がある領空のような排除権は認められていなかった。
一方、国会では立権民衆党が主導する野党が事態の鎮静化と発令の長期化を理由に治安出動と海上における警備行動の撤回と自衛隊の行動の検証を要求していることはニュースでも大きく取り上げている。同じ被爆地でも長崎のマスコミは広島のように番組を政治闘争の道具にすることはせず視聴者の感情に訴える手法を多用している。そのため今回の野党の主張に対する市民のインタビューでも賛否を半々にしているが広島では各種選挙の結果とは関わりなく野党の全面支持になっていて地元世論に過剰反応する石田首相に重い圧力をかけている。これまで海上自衛隊はアメリカ海軍のアルフレッド・セイヤー・マハン少将が提唱した海洋戦略理論の兄弟弟子として日本政府の意向とは無関係に防衛行動を遂行してきたが最終局面でも貫徹できるかは他の自衛隊には判らない。
「大臣が今回は発砲に躊躇するなって言ってるそうだ」自衛隊から提供を受けた情報を長崎海上保安部に伝えた北九州市門司の第7管区海上保安本部の担当者は西藤国土交通大臣の意外な発言を付け加えた。西藤国土交通大臣は自衛隊からの情報を大原防衛大臣から直接伝えられて海上保安庁長官と自衛隊で言えば幕僚長に当たる海上保安監を呼んで口頭で指示した。海上保安庁長官は制服を着用していても国土交通省のキャリア官僚が横滑りすることが多く叩き上げの海上保安監でなければ現場に真意が伝わらないことを自覚したらしい。かつては現場の海上保安官たちも中央の官僚たちが海上自衛隊を敵視するのに同調して潜水艦・なだしおと遊漁船・第1富士丸やイージス護衛艦・あまごと漁船の衝突事故では捏造に等しい捜査報告を提出したが、現在は能登半島沖の北朝鮮の工作船や中国の原子力潜水艦の領海侵犯で海上における警備行動が発令された海上自衛隊に比べて九州西南海沖で北朝鮮の工作船に銃撃を受けた上に自爆沈没させた対応で役割の違いを痛感させられている。さらにソマリア海における海賊対処でも逮捕時の警察職員として海上自衛隊の護衛艦に乗務して海を守る者同士で意気投合している。何よりも海上保安庁は尖閣諸島周辺海域で中国の海警の海軍の巡洋艦を転用した警備船の砲撃で巡視船を撃沈されて多くの同僚が殉職していた。
  1. 2023/12/08(金) 12:41:12|
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