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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ692

「大臣としては航空局の労組が中国の侵攻に全面協力したことが発覚して責任を問われるのは間違いないから俺たちに汚名挽回、起死回生の一撃を期待してるんだろう」「南無妙法蓮華経って唱えながら殺せば怨敵降伏(おんてきごうぶく)になるから罪にならないって言ってなかったか」第7管区海上保安本部からの指示を受けた長崎海上保安部では保安部長が巡視船の船長、巡視艇の艇長を含む主要幹部を集めて伝達した。すると解散後の雑談で想像以上に冷ややかかな分析が始まった。
海上保安庁では尖閣諸島周辺海域で中国の海警の海軍の巡洋艦の塗装を変えただけの警備艦の砲撃を受けて巡視船を撃沈されている。さらに尖閣諸島の魚釣島に不法上陸して電波灯台と宿舎を建設していた中国人を逮捕するために沖縄県警国境離島警備隊と共に上陸した隊員も警備艦の艦砲射撃で全滅している。この事態に現場の海上保安官たちは「海上保安庁から自衛隊法第80条の発動を要求して海上自衛隊と共同で防衛任務に当たるべきだ」と声を上げたが、国土交通省の官僚出身の海上保安庁長官は「例え自衛隊法第80条が発動されても海上保安庁法第25条の非軍事性は堅持して行動は救難や違法行為の取り締まりに限定される」と釘を刺した。確かに自衛隊法施行令第103条では「隊法第80条2項の規定による海上保安庁の全部又は一部に対する指揮は海上保安庁長官に対して行うものとする」と定められていて各海上保安本部や巡視船を自衛隊が指揮するのではないのでその受付窓口が条件を付ければ従うしかない。
「長官は大臣に自衛隊とは共同しないって反論しなかったのかな」「今の大臣にそんなことを言えば海上保安庁も中国の工作員の巣窟かって疑われてしまうぞ。兎に角、正大党にも大臣が中国の侵略に加担したって抗議が殺到しているそうだから禁句は口にしないだろう」「折角、取り戻した官僚の天下り先が我々に取り戻されかねないからな」海上保安庁は国土交通省の外局だが高級官僚の人事系統からは外れているため海上保安庁長官は「天下り先」と思われている。創設以来の歴代海上保安庁長官は防衛庁の官僚による自衛隊に対する文民統制を踏襲した訳ではないが運輸省・国土交通省のキャリア官僚が横滑りする形で持ち回りにしてきた。そんな中で2回だけ海上保安大学校出身のエリート叩き上げが海上保安監から海上保安庁長官に就任した。これに対して国土交通省の官僚たちは陸上自衛隊の創設期に内務省官僚出身者が公務追放を解除されて入隊してきた陸軍士官学校出身者に陸上幕僚長のポストを奪われないために繰り広げた政治的工作を模倣したかのような画策を巡らして取り戻している。そのためなのか現在の海上保安庁長官は記者会見などでも規則で制定されている制服を着用せずに背広姿が多い。
そんな海上保安庁はオホーツク海や日本海での日露海戦に参加しないで撃沈されたロシア艦隊や撃墜されたロシア軍機の生存者の救助に当たった。それでさえ海上保安庁の官僚たちは軍事行動にならないように海空自衛隊の救難隊との共同運用に目を光らせていた。幸いロシア軍は海空自衛隊の救難機は軍用機と見做して敵対行動を取ったが海上保安庁の巡視船には手出ししないだけでなく上空を通過する時には翼を振って感謝の意を表していた。海上保安官たちは自分たちを「海の警察官」と自称しているがこれでは「海の救急隊員」だ。それも悪くはないが陸上自衛隊に災害派遣を目的に入隊して来る新隊員が戦闘訓練を拒否しているような本末転倒は困る。
「問題はウチには小型巡視艇が多いから外洋での行動は得意じゃあない上、武装も脆弱だから大臣の期待に応えられるかだな」「10管(第10管区海上保安本部)は北朝鮮の工作船で情けない思いをしただろう」長崎海上保安部を含む第7管区海上保安本部は関門海峡の交通整理と瀬戸内海西部や豊後水道などの内海に対馬、壱岐島、五島列島などの離島が点在する東シナ海を所管するため80隻の船艇を保有していても大半は近海用の小型巡視艇だ。一方、鹿児島市の第10管区海上保安本部は九州南部から奄美諸島の太平洋と東シナ海を所管するため保有数は27隻でも8隻がヘリコプター搭載型を含む巡視船だ。それも2001年12月22日の九州西南海北朝鮮工作船事件で高速の小型巡視艇が外洋で速度が維持できず小回りが利かない巡視船で追跡したが銃撃と携帯ミサイルの発射を受けて拿捕を断念、自爆・沈没するのを見届けることになった結果だ。
  1. 2023/12/09(土) 15:10:52|
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