fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ700

最近は不思議に平和な空気を取り戻したように感じる横田基地を一周して自宅に戻った。滑走路の反対側に建ち並ぶ官舎地区も灯火制限が解除されたのか入居している家の全ての窓に明るい光が灯り、中で家族が団欒を楽しんでいる光景が想像された。
「これはかなり過激だな。日本で溜めていた鬱憤をブチ撒けているみたいだ」「私もそう思うの」家に帰れば何時ものように一緒にシャワーを浴びて晩酌が始まる。泡盛と低カロリーのツマミを用意すると梢がパソコンで今日録画した佳織が出演しているアメリカの報道番組を見せてくれた。佳織は海外駐留アメリカ軍向けのAFNには頻繁に出演しているが最近は大手テレビ局も増えている。やはり大手テレビ局は軍人とその家族に限定されるAFNよりも視聴者の反応が大きく意を強くしているのかも知れない。
「実例としてマスコミと細菌学界を批判したのはインパクトを与える意味で有効なんだろうが『自分は佛教徒だから』と言ったのはアメリカのネオコン(狂信的キリスト教徒)に佛教の優位性を誇示しているように受け取られかねんぞ」「ヨーロッパでも日本の禅は宗教じゃなくて文化として受け入れられてたもんね」梢の見解は日本と韓国・中国の武力衝突が始まった頃、アムステルダムにある日本人の僧侶が経営する坐禅道場が在オランダの中国系・半島系の移民団体に破壊された事件を報じた地元マスコミの解説だ。移民団体としてはヨーロッパのキリスト教徒たちに異教徒の布教活動に反発させて反日世論を生起させるつもりだったようだが、アムステルダムにはイスラム教のモスクが完成して共存の意識が高まっていた上に中国の株式買収を受けていない地元マスコミが「日本の伝統的精神文化を伝える施設を破壊した暴挙」と批判したため逆効果だった。
「これが日本で報道されると自衛隊の元将官の暴走ってことになってしまうな」「貴方もシベリアから帰った時には日本で取り上げられたけど慎重に言葉を選んでいたから別人みたいだったわ」「あの時は大勢の日本人がシベリアで人質になっていたからな」おそらく梢は義父の最期を看取りに沖縄へ帰っていた時にオランダに帰った私が日本の在ヨーロッパの記者の取材を受けた新聞の記事を読んだのだろう。あの時はロシアの暴挙と非人道的な措置に蓄積させていた怒りが大炎上しそうだったが、一緒にシベリアに拘束されながら私一人が解放された立場を思いながら努めて慎重に発言した。勿論、職場である国際刑事裁判所でロシアの非合法な非人道的行為を告発するつもりだった。
「本当は佳織にホワイトハウスが日露戦争の時のセオドア・ルーズベルト政権のような停戦の仲介を提案させたいんだが世論の反発を買ってしまうと難しくなる」「アメリカのマスコミにも喧嘩を売ってるものね」日本では日露戦争に勝ったと思い込み、日本軍は慢心して大陸進出と対米戦争に突き進んだと教えているが、ヨーロッパの歴史ではロシア陸軍はヨーロッパ圏の主力部隊を容易にシベリア鉄道で極東に移動させることができた。海軍も日本海軍を上回る黒海艦隊が無傷で残っていてこれを派遣すれば連合艦隊を壊滅させることは可能だった。つまりポーツマス条約はルーズベルト政権の斡旋を帝政ロシアが受け入れて譲歩した停戦に過ぎず、東アジアの弱小国が世界最大の陸軍国と対等に戦ったことが評価されているに過ぎない。今回の武力紛争は当事国である日本が防衛出動を発令していないため公式な戦争とは認められず手続き上の停戦も難しいが、アメリカには安全保障会議の常任理国として中国とロシアが主張する懲罰行動を否定する決議を提案・可決させてもらいたい。当然、両常任理事国は拒否権を行使するだろうがそれは諦める。
「それじゃあ佳織には『あまり佛教徒であることを前面に出さない方が良い』って助言しておくわ」「それだけは気になるから頼む」30分の放送のCMをカットして28分に編集してインターネットに掲載した動画を見終わって冷めてしまったお湯割りの泡盛を呑みながら梢と感想を語り合った。それにしても元カノの恋女房が前妻と義姉妹の杯を交わしている不可解な人間関係は簡単には理解し切れない。
「そう言えば朝山蓮床(れんしょう)和尚から自衛隊OBの坊主を招集して慰霊団を編成するから指揮官を頼まれたんだった」「でも貴方は国家公務員でしょう」「自衛隊でもお布施をもらわなければ大丈夫だったよ」どうやら東北地区太平洋沖地震の後、茶山元3佐の船岡駐屯地・第2施設団OB会が実施した自主的災害派遣を坊主でやることになりそうだ。
  1. 2023/12/17(日) 15:30:38|
  2. 夜の連続小説9
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<12月18日・70年代革命闘争の発端・上赤坂交番襲撃事件 | ホーム | 12月16日・これぞ「自力更生」・中華国際航空機ハイジャック事件>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8868-a0d28fee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)