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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

12月20日・パパ・ブッシュ政権によるパナマ制圧作戦

1989年の明日12月20日にパパ・ブッシュ政権が駐パナマ・アメリカン南方軍(中央アメリカとカリブ諸島、南アメリカを担当する)に「パナマ在住のアメリカ人の保護」「パナマ運河条約の保全」そして「マヌエヌ・アントニオ・ノリエガ・モレノ国家警備隊=国軍の最高司令官の身柄の拘束」を目的とする武力制圧「オペレーション・ジャスト・コース(大義名分作戦)」を命じました。
ノリエガ最高司令官は1981年に原因不明の飛行機事故で死亡したオマル・トリホス最高司令官の後任として1983年に国防と治安の担当する国家警備隊の最高司令官に就任して以来、中南米の裏社会と結びつき隣国・コロンビアの麻薬組織が海外に売り捌く際の仲介によって巨額の金を稼ぎながらアメリカの麻薬取締局の要請に応じて販売量を制限したため1978年から1987年まで連続して感謝状を贈られていました。
ところが1986年にアメリカ税関の主導で実施された麻薬取締作戦「オペレーション・チェイス」によって麻薬取引とマネーロンダリング(資金洗浄=不正な手段で手に入れた資金を合法的収益に偽装する)に関与していることが明らかになり、さらに1981年のトリボス前最高司令官暗殺の疑惑も浮上するとパナマ国内では反ノリエガ派が排斥運動を起こし、1987年には大統領がノリエガ最高司令官の解任を決定しましたが、逆に議会のノリエガ派によって大統領が解任決議を可決されました。
その一方でアメリカの麻薬密輸ルートになっているマイアミの裁判所がノリエガ最高司令官を告発するとロナルド・レーガン政権は「パナマに民主主義が建設されるまで」と期限を付けてパナマの在アメリカ資産の凍結とパナマ運河の通行料の支払い停止を通告しました。当然、パナマ政府も対抗措置として在パナマの外国資産の全面凍結を宣言しましたが国内の流通が滞って経済活動が停止状態に陥り、これに対してレーガン政権は「ノリエガが引退すれば告訴を取り下げる」との司法取引を持ちかけましたが拒否されました。
こうしてレーガン政権末期にパナマ制圧作戦が検討されましたが、実行する前に作戦立案に深く関わったパパ・ブッシュ副大統領の昇格就任が確実になったため次期政権に譲り、就任後は反ノリエガ派の候補者を大統領選挙に擁立して当選させたものの選挙を無効にされてノリエガ派の大統領が就任したためこの日に作戦を発動したのです。
作戦そのものは進攻ではなくパナマ国内に駐留するアメリカ南方軍が駐屯地を出てパナマ国家警備隊を制圧すると言う変則的なもので、アメリカ製の旧式の銃火器が中心の国家防衛隊に対してアメリカ軍はF―117ステレス攻撃機やAH―64攻撃ヘリコプターなどの最新鋭兵器を投入したので数日を経ずして首都・パナマ市は陥落しました。
ノリエガ最高司令官はバチカン大使館に逃げ込みましたが、アメリカ軍の特殊部隊が大音響のロック音楽などの心理的圧迫を加えて追い込むニフティ・パッケージ作戦で翌年1月3日に投降させて逮捕しました。その後はアメリカに送られて裁判を受け麻薬密輸の罪で懲役40年の判決を受け、2010年に出所すると今度はフランスでも服役し、2017年5月29日に帰国していたパナマで死亡しました。83歳でした。
  1. 2023/12/19(火) 14:37:51|
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