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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ711

「閣下は今朝の面談の予約は入っていませんが」「国家の緊急事態だ。君と問答している暇(いとま)はない」「しかし、次官が今日の閣議の報告内容の説明中でして・・・」数日前、台湾海峡の金門島で大陸の無線交信を傍受している本間郁子からの警告を受け取った統合幕僚長は即座に大原防衛大臣と宮谷副大臣に報告しようとした。すると官僚の秘書官は「閣議の準備をしている」と拒否しようとしたが統合幕僚長は日頃の知的で温和な雰囲気を一変させて強引に大臣室のドアを開けて中に押し入った。
「大臣、人払いを願います」「何だね、案内(あない)も請わずに押し入っておいて無礼にも・・・」「貴様は出ていけ。一刻を争うんだ」小泉政権以降は統合幕僚長と防衛事務次官は国家公務員として同格とされているが警察予備隊の創設時、占領軍によって解体された内務省の警察官僚たちが後に防衛庁内局となる組織を作り、さらに制服組のトップに内務官僚出身の林敬三を抜擢して帝国陸海軍の軍人たちが公職追放されている間に旧内務省=警察官僚による自衛隊の支配体制を固めた。それを指揮したのは稀代の悪徳官僚の海原治であり、官僚の間ではいまでに信望者が棲息している。
「そうか・・・それ程の事態であれば副大臣も呼んだ方が良いな」「お願いします。実は陸海空幕僚長も大臣室の前に待たせています」事務次官は統合幕僚長の常軌を逸した態度に事態の重大性を察した大原防衛大臣が理解を示したのを見て陸海空幕僚長たちと入れ替わりに退室したが立ち寄った秘書官室で怒りをぶちまけた。
「中国は呂論島での作戦を大規模に拡充して再度実施するつもりのようです」「流石のしぶとさだな」大原防衛大臣は宮谷副大臣をインターホンで呼ぶと待つ間に内閣官房長官に電話をして閣議にはモニター参加することを伝えた。そして全員が揃うとソファーを勧めて統合幕僚長に説明を始めさせた。それでも女性秘書官がコーヒーを持って来ないところを見ると粘着質な事務次官の苦情が長引いているらしい。
「この情報源は台湾軍の金門島の施設で対岸の交信を傍受していますが中国軍の軍用回線よりも現場の部隊や兵員が軽易に利用しているスマートホン・携帯電話に周波数を合わせているようです。日本以上にスマートホンや携帯電話が普及している中国では肉声が届かない相手との会話は電波に乗せているので盗み聞きは公的な軍用回線よりも得る物が多いのです。実際、加倍政権は自衛隊の無線調査部隊が傍受した情報を交換・共有する濃密な協力関係を推進していましたが中国との関係修復を標榜する石田政権の登場で滞りました。同様の内容は奄美諸島の傍受施設でも傍受していますが距離的に出力が弱いスマートホンの電波は捕捉できないのでここまで詳細な情報は探知できていません」統合幕僚長はまだ大原防衛大臣や宮谷副大臣にはニューヨークの海外情報機関の存在は明かしていない。そのため中央指揮所でもニューヨークからの情報は在日アメリカ軍から入手したことにしている。今回は台湾軍発だ。
「しかも今回は韓国軍の脱走者も攻撃に加わると言う噂レベルの情報があります。まさしく『第2次元寇』の様相を呈します」この韓国軍の情報は間宮リンゾーが若い精力と最新式性的興奮剤=媚薬を閉経になっている熟女・高仁智少佐の肉体に注ぎ込んで性の快楽に溺れさせて訊き出したものだが駐屯地の医務室の副長では噂レベルの伝聞情報しか持っておらず組織の保全のために処分することを考えている。それでも韓国軍内では日本海沿岸の部隊の海兵隊員が反日的漁民から提供を受けた漁船で山口県萩市沖の見島を攻撃し、中国の大漁船団の襲来に合わせて済州島の海軍が艦艇を奪って海上保安庁の巡視船艇を攻撃する計画が公然と語られているようだ。
「今回の侵攻は中国としては最終決戦になるだろう。すでに損害は軍に限らずクルーズ船や民間旅客機にまで及んでいる。これ以上の隠蔽は中国共産党の力を以ってしても無理だ」「今回は新潟と同じく戦争をやらせてもらいます。北海道では治安出動の枠内で行動したためロシア軍は自滅しただけで凝りもせず新潟に手を出してきました。そこで戦争的な破壊を加えたらその後は参戦を中止しています」「現在は通常の偵察飛行を含めてロシア軍は我が国に対する軍事行動を停止しています」「国内の在日半島人の組織的違法行動も皆無です」空と陸の幕僚長の補足説明に大原大臣は大きくうなずいた。
  1. 2024/01/20(土) 09:51:36|
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