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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ712

「実は誠に勝手ながら警視総監と海上保安監にも声をかけていまして間もなくこちらに来ることになっております。大臣が閣議をモニター参加にされなければ副大臣室か私の公室で対応を協議するつもりでしたが・・・」「中央指揮所は駄目か」「警察と海保(海上保安庁)の制服組のトップとは言え部外者ですから手続き上の問題がありまして」「構わん、本当は治安出動と(海上における)警備行動でも参加してもらうべきだったんだ。それに中央指揮所ならモニター参加する準備もできている」大原大臣は閣議で竹村国家公安委員長や連立与党の西藤黒土交通大臣の発言を聞いていて「戦時」と言う認識が希薄な印象を抱いていた。中でも西藤黒土交通大臣は航空局が中国の大型旅客機の多数同時の異常なフライトプラン=飛行計画を受けつけ、関西国際空港で武装した部隊が搭乗していたことが明らかになったことで公安当局の内部調査が入って以降、海上保安庁には厳格な対応を指示しているらしいが石田首相や上山外務大臣が主導する外交交渉による事態収束・関係修復と言う政権としての大方針に異論を唱えることはない。
「失礼します。統合幕僚長に用件で警視総監と海上保安監が続いて正門を通過されたようです」「我々は中央指揮所に移動する。閣議はモニター参加だ。それは私から官房長官に連絡した」「はい」「2人とも正面ロビーで待たせろ。中央指揮所に案内する」「中央指揮所への部外者の立ち入りには手続きと審査が・・・」「許可権者は私だ」ノックの後、ドアを開けて正門の門衛所からの連絡を伝えた秘書官に大原防衛大臣が指示を与えると官僚的に難色を示した。これは先ほどの陸上幕僚長の二番煎じになったので大原防衛大臣はあからさまに苛立った表情になり、叱責するように反論した。
「本日はご多用中のところ急にお呼び立てして申し訳ありませんでした」「いいえ、以前から入ってみたかった中央指揮所にお招きいただいて興奮気味です」結局、内局が入っている本館の正面ロビーで招待者の統合幕僚長が2人を出迎えて中央指揮所に案内すると統合幕僚長と陸海空幕僚長とは対面の内局の席に座らせて協議が始まった。今回は中央指揮所で勤務している陸曹のWACがコーヒーを運んできた。
「台湾軍の大陸の交信を傍受している組織と韓国軍の比較的信頼がおける情報によれば期日は不明ながら近日中に中国が100隻前後の漁船に武装した兵員を乗船させて黄海から東シナ海を東に進み、長崎県の五島列島と鹿児島県の甑群島、状況によっては九州本土を攻撃する計画のようです」統合幕僚長の説明に合わせて中央指揮所のモニター画面が東シナ海の北部と五島列島、甑群島の詳細な航空写真を表示すると警視総監と海上保安監は感嘆したように身を乗り出して見入った。
「同時に韓国軍でも海兵隊の脱走兵が反日的漁民から提供を受けた漁船で日本海を南下、山口県の見島、山口県から島根県の沿岸を攻撃し、中国の漁船団の到着に呼応して済州島の海軍の脱走した乗員が艦艇を奪って出航して海上保安庁の巡視船を攻撃する計画もあるようです」今度は見島と済州島付近の地図のアップも加わった。
「漁船に武装と言いますと」「流石に船体を改造する暇はないでしょうから乗船している兵員が携帯する地上戦用の武器・弾薬だけでしょう。それでも中国製の携帯式地対空ミサイルを搭載するようです」「携SAMですか・・・」海上保安監は2001年12月22日の九州南西沖の北朝鮮工作船の追跡で発射された携帯式地対空ミサイルを思い出したのか重い口調で返事した。
「それでも広大な海域で100隻もの漁船となると海上保安庁の巡視船では対応し切れないでしょう。ましてや韓国海軍の艦艇が攻撃してくる危険性が高い以上、躊躇なく回避行動を採っていただきたい。尖閣海域での犠牲を繰り返してはいけません」「それでも漁船を放置すれば我が国の領土に上陸させることになる」「鹿屋基地のPー1を(海上における)警備行動に基づいて派遣します。爆雷で停船させることは可能でしょう」海上保安監は海上幕僚長の説明に自衛隊では今回の事態への対応を事前に検討していたように感じた。つまり外務省の公式ルート以外に独自の情報を入手していたことになる。
「それでも100隻の漁船に積んでいる携SAMを一斉射撃されればPー1が防御策を講じても回避し切れないのでは」「その時は」今度は何故か航空幕僚長が口を開いた。
  1. 2024/01/21(日) 09:58:59|
  2. 夜の連続小説9
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