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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ731

「ハイド(第15警戒隊のコールサイン=仮称)CP、陸自が目達原のAHー64を福江サウス(福江島南方)に派遣する」「ラージャ」第15警戒隊指揮所では第2中隊長・永田3佐の覚悟を聞いた第1普通科大隊長が中国漁船の隻数や距離、下甑島の損害などの情報などから第1中隊も南部地区に派遣すべきか本部中隊長と検討している中、西部航空方面隊指揮所から連絡が入った。レーダーサイトとしてのコールサインを使ったところを見ると兵器管制官部かパイロットの運用幕僚らしい。こちらで受けた運用班長も兵器管制幹部らしく英語で答えた。
「西部方面隊が目達原のAHー64を派遣するそうです」「攻撃するつもりでしょう」「やはり下甑での1個中隊全滅は大きかったな」レーダー・コンソールの前に座っている運用班長が振り返ってヘッドセットで聞いた情報を伝えると陸上自衛隊は目的を推理し始めた。西部方面隊は下甑島に派遣した1個中隊が全滅させられてもCHー47は対馬警備隊の五島列島中通島への移動に転用しているので第8飛行隊のUHー1多用途ヘリコプターで1個分隊ずつ細切れに空輸している状態だ。五島列島で第1空挺団がそれ以上の損害を受けてもCー130は徳之島へ行っている。勿論、航空自衛隊には追加のCー130(Cー2の着陸距離は2300メートルなので福江島や徳之島の2000メートル滑走路では使用できない)と西部ヘリコプター空輸隊のCHー47の派遣を要請しているがジェット戦闘機ではないので超音速では飛んでこない。
「それでは当初の予定通り1中隊は五島市内に移動でよろしいですね」「待て、AHー47で攻撃すると言うのは我々の希望的観測に過ぎない。2中隊長が言っていた通り相手が漁船である以上、自衛隊には攻撃する権限が与えられていない。おまけに我々は海上(における)警備行動に参加する立場じゃあないんだ」「それでは」「1中隊には東回りで南部に向かわせる。中国のことだ、船団を組むと見せかけて少数の漁船を別行動させていることは十分考えられる」「現在、空港警備隊は福江港から大浜海岸までの海岸線を車両巡察しています」「それなら市内を南に突っ切って富江町に向かわせよう。2中隊を大宝に配置すれば南部の海岸線は固められる」第1大隊長は本部中隊長と副中隊長を兼務する運用訓練幹部を引き連れて指揮所の掲示板の五島列島と福江島の地図に歩み寄ると南部の海岸線を指差しながら指示を与えた。実は第15警戒隊長としては第1中隊を五島市内に配置するのは中通島との間にある久賀島、奈留島、若松島に上陸された時に対馬警備隊と共同で対処するためだと期待していた。しかし、第1空挺団は奇襲攻撃を主任務としているため長期間の地域の占領や防御は専門外で幹部たちの部隊運用に関する思考には入っていないらしい。
「ヘリのエンジン音です」第2中隊の高機動車の車列が平時の安全運転の指導では絶対に許されない高速度で断崖絶壁に沿って蛇行を繰り返す海岸線の道路を南下して大宝の集落に入ると運転手の陸曹が助手席の永田3佐に声をかけた。
「銃声はしないか」「聞こえません」「低空で飛び回っているだけのようです」永田3佐は第15警戒隊指揮所内に開設された第1大隊指揮所から「攻撃ヘリコプターのAHー64が派遣される」と聞いて「攻撃」を期待したが自分の耳には銃声や爆発音が聞こえないため同乗している隊員たちに確認したのだ。
「接近しないように妨害しているのかも知れませんが、威嚇射撃くらいしないと強行突破するのも時間の問題ですよ」「俺たちが到着するまで時間を稼いでくれれば十分だ」後部座席で陸曹たちがAHー64の行動を分析・評価し始めると永田3佐は出発前に第1大隊長に申し出た「独断専行」を改めて噛み締めた。結局、西部方面航空隊とその背後に存在する西部方面隊も中国軍が乗っていることが明らかでも「漁船を攻撃する」と言う現段階では違法になる行為を実施する覚悟は決められないのだ。
「第2中隊、展開予定地に配備完了しました。携MAT全30基、キャリバー50(M2・12・7ミリ重機関銃)が2基、MINIMI(5・56ミリ軽機関銃)がベルト給弾で4丁、射撃準備完了」バババババ・・・。1小隊長が副中隊長として隊員の配置と射撃準備の完了を報告した時、沖で30ミリ機関砲の重い砲声が響き始めた。
  1. 2024/02/10(土) 14:06:29|
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