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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ732

「やっと武器を持ち出してくれた。これで遠慮なくや(殺)れるぞ」第15警戒隊監視小隊のオペレーションで飛行をモニターしている空曹が中国漁船の船団に対処しているAHー64の前席の射撃手と後席のパイロットの会話を聞いた。AHー64の4機の編隊は現場空域に到着すると中国の漁船が搭載している武器を取り出して攻撃する口実を作るように低空飛行で進路を遮り、射撃を始めるように機首を向けて上空で停止する挑発を繰り返してきた。しかし、中国側も漁船であれば自衛隊が手出しできないことを知っているようで40隻が海面一杯に広がって回避しながら次第に海岸に接近していた。
「どうやら海岸線に自衛隊が到着したのを見て小銃を準備したようだな」「証拠写真を撮影してから銃撃を始めよう」永田3佐が隊員の配置と射撃準備の完了の報告を受けている時にAHー64の砲声が聞こえ始めたのにはこんな理由があった。
「俺たちは右の後ろからやることになった」「ラージャ、船団を組んでくれるとやりやすいんだが・・・」編隊長の指示を受けたパイロットが射撃手に声をかけると30ミリ機関砲の装弾の確認やAN/ASQー170(目標捕捉・指示照準装置)の機能点検などの射撃準備を始め、前方の海面で相変らず自由奔放に逃げ回っているようで確実に海岸に近づいていく中国船に勝手な希望を投げかけた。
バババババ・・・、統率が効かない群れのような中国の漁船たちを四方から取り囲む位置についた4機のAHー64は編隊長の命令で一斉に射撃を始めた。主砲のM230は30ミリ機関砲で射撃手のヘルメットの照準装置に連動して上方11度、下方60度、左右各100度まで発射方向を変更できる。つまり顔を向けて引き金を落とせば1分間に625発の30ミリ弾が正確に飛んでいくのだ。他にもAHー64にはAGM114対戦車ミサイルを最大左右16発、ロケット弾19発を装填した発射ポッドを最大左右4門76発を搭載できる。今回はロケット弾を搭載してきたがこちらの使用は刑法判例の加害用具威力均等の原則から漁船が携SAMの使用を準備してからになる。
「流石に30ミリ弾の威力は凄いですね。キャリバー50の12.7ミリ弾とは物が違う」「30ミリ弾は炸裂弾だから鉄の塊の12.7ミリ弾とは用途が違うんだよ」永田3佐以下の第2中隊はAHー64が撃ち漏らした漁船が接近してくれば迎撃しようと待ち構えているが、双眼鏡で見えるのは獲物をいたぶるように上空をかすめ飛び、機首の機関砲から発射焔を点滅させている黒い点と海面のところどころに立ち昇る黒煙だけだ。南風にのってかすかにエンジン音と砲声の合間に爆発音も聞こえるがこちらはエンジンや燃料タンク、船内に隠している弾薬に命中した時だけだ。
「おッ、ヘリが急上昇したぞ。フレアを撒き始めた」永田3佐の隣で双眼鏡を覗いている1小隊長が驚いたような声を出した。黒い点にしか見えないAHー64が急上昇して赤外線誘導弾を幻惑させる発火体・フレアを放出したことを視認したらしい。フレアは放出と言うよりも撒き散らす感じなので遠望では判りにくいはずだ。
「流石に追い詰められて携SAMを使おうとしたようだな」「窮鼠、猫を咬(は)むと言う奴ですね」「AHはロケット弾をつかうでしょうか。今更と言う気もしますが」1小隊長の視力に感心しながら望遠鏡を覗く眼力を強化している永田3佐が声をかけると先任陸曹と1小隊長が代わる代わる答えた。
「漁船に乗っていた兵隊の収容はどうしましょう。島の漁船は避難する時に漁民が乗っていったようで残っていませんが」「国際法上は戦闘終了後に負傷者を収容して保護しなければならないが・・・」ヘリコプターの黒い点が上空で停止して海面を確認しているような様子を見た1小隊長が永田3佐に質問した。
ジュネーブ第1条約=戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月27日ジュネーブ条約の15条では「紛争当事国は常に、特に交戦終了後に傷者及び病者を捜索し、及び収容し、それらの者を掠奪及び虐待から保護し、それらの者に十分な看護を確保し、並びに死者を捜索し、及び死者が剥奪を受けることを防止するため遅滞なく全ての可能な措置を執らなければならない」と規定しているが、日本にはどこまでを「可能な」とするかの判例・前例や政府の公式見解はない。
  1. 2024/02/11(日) 14:56:41|
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