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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ733

私は役に立つOBとして「中国の大漁船団が九州に侵攻する可能性が高い」と言う内部情報を耳打ちされて以来、市ヶ谷地区の警務隊本部と統合幕僚監部に常駐して検察官の立場で状況の推移を注視していた。
漁船を使った中国の侵攻については刑法犯罪として鹿児島地方検察庁が立件した呂論島での事例を研究しているので推察できるが脱走兵を装っている前回に比べて規模が大きく、携行している武器も強力なのではないかと統合幕僚監部も危惧している。その一方で大型旅客機を使った作戦で大損害を出しているだけに幾ら言論統制が徹底していても国民に疑惑を抱かれるような大部隊の動員は難しいと言う見方もある。
「何だ、これは」市ヶ谷地区から最高検察庁に戻り、梢が待つ自宅に帰ろうと地下鉄の霞ヶ関駅に下りた。車内で読む雑誌を買おうと売店を覗いて手前に並んでいる新聞の中の1紙の見出しが目に入り、大きな独り言を呟いてしまった。他の新聞は第7管区海上保安本部と西部方面隊の東シナ海と九州西岸や五島列島の防備の強化を1面にしているようだがA日新聞だけは「自民党の派閥が不正会計」と目立つ大見出しを刷り出していた。しかも末尾に「か」や「?」を付けておらず断定的なスクープ報道らしい。
「毎度の如く自衛隊の足を引っ張るつもりなんだろうが搦め手から攻めたな」私は雑誌と一緒に残り少なくなっているA日新聞を取ると売店の小母ちゃんに代金を払ってホームに向かうエスカレーターに乗った。すると前に立っている乗客たちもA日新聞を持っていて顔の前で大見出しと小見出しを眺めているのが判った。確かに私が店頭で買おうか迷っている間にも筒状に立ててあるA日新聞を次々に抜いていくスーツ姿の中年のサラリーマンたちがいた。やはり閉塞感の中で目新しいニュースは関心を引くのだろう。
「ふーん、この手は中曽根内閣の時にも使った二番煎じだな」一度、最高検察庁に戻っている分だけ帰宅時間に出遅れている地下鉄の車内は空いていて席に座ることができた。早速、2つに折った1面を立てて速読すると自民党内の有力派閥がパーティー券をノルマ以上に売った議員に収益金を渡し、それを政治資金規正法が定める収支報告書に記載させなかったと言う金銭スキャンダルで、その派閥とは加倍派だった。
かつてA日新聞はレーガン大統領の盟友として相手の顔色を覗うしか能がなかった日本の外交をアメリカ式の戦略外交に転換した中曽根康弘内閣が退陣するとリクルート社から資金ではなく未公開の株式を贈与され、その株価の高騰によって莫大な収益を得たとする政治疑惑を今回と同様に夕刊とテレビA日系列局の夕方のニュースがスクープしたのだ。その後、事前に詳細な情報を提供されていた他の新聞やテレビ局も翌日の朝刊と朝のニュースで追随したため田中角栄のロッキード事件並みの政治スキャンダルになり、71歳だった中曽根首相の再登板や後継者と目されていた藤波孝生官房長官は完全に潰されて、門下生と言うべき派閥の所属議員たちも霧散してしまった。
その背景には過去の判例では利益になることが不確定なため立件できていなかった株式の贈与をマスコミが煽った批判世論を後ろ盾にした東京地方検察庁特捜部が立件に持ち込んだ正当とは言い難い強引で異常な公判手法がある。
実は東京地方検察庁特捜部は私の母校・愛知県立蒲郡高校の前身・蒲郡農学校を中退した河井信太郎先輩が創設したので悪くは言いたくないが、真実を究明することよりも自分たちが勝手に抱いた疑惑を立件・有罪とするためにマスコミを道具とする公判手法には決して賛同できない。河井先輩は敗戦後の経済再建のために政府が投じる巨額の国家予算を巡って政財界が癒着していた汚職体質を白日の下に晒すべく捜査段階で情報を漏らず手法を用いるようになったようだが、60年安保当時に任官した裁判官と検察官の中には反国家の活動家を擁護して犯行の立件を怠り、量刑を不当に軽減した者が少なくなかった。それを石田和外最高裁判所長官が判事の思想傾向を審査するなど組織改革を進めてマスコミが「体制寄りだ」と批判する現在の司法になったのだが、大学の教授による洗脳教育は相変わらずなので各特捜部は反体制の種が繁る土壌になっているようだ。
「しかし、今では東京地検がA日新聞の道具になっていますよ。河井先輩」やはりA日新聞は速読でも不快になるので関連記事だけにしたが読後の感想は河井先輩に伝えた。
  1. 2024/02/12(月) 14:46:49|
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