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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ740

「森田の息子の審査は終わっていないようだな」別枠で届いていた森田謙作予備2曹の検察審査会への申し立ての書類の日付を見るとまだ半月前だ。検察審査会としては書類審査を終えて受理すれば所管地域の有権者から検察審査員11名を選んで通知した頃だ。検察審査員は申立人の事情説明と検察官が告訴しない理由を検討して決議するだけなので開廷中は拘束され、殺人罪や傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、児童虐待などの凶悪事件の悲惨な現場や解剖の写真なども見なければならない裁判員に比べれば負担は軽く、拒否されることは少ないと聞いている。
「確かに森田の息子の事案は警察官拳銃使用及び取扱い規範の手順を当てはめられると苦しいな」森田予備2曹の捜査資料と事情聴取の調書については旭川駐屯地の第119地区警務隊で熟読させてもらった後、江団別小中学校の捕虜収容所で面談した本人からも雑談的に話を聞くことができた。
即応予備自衛官として招集された森田予備2曹は市民が避難した稚内市内に配置されて侵入者を取り締まっていた。そこに「ロシア軍が参戦する」と言う情報が入ったため市内に展開している航空自衛隊の第3高射群の陣地の周囲に配備されて警備を強化した。この時点で森田予備3曹を含める即応予備自衛官たちの意識は「戦闘」に移行していた。さらに根室に展開していた第6高射群のミサイルが突如として爆発して全滅する非常事態が発生し、それが「武装工作員による破壊である可能性が高い」との警備情報が周知されたため上級部隊からの命令の下達を待つことなく実戦に出征した。そうでなければ任務は遂行できない。そしてそこに根室よりも少し遅れて武装工作員がやってきた。本来であれば時刻を合わせて2カ所同時に破壊したかったのだろうが根室半島の先端に続く一本道の途中にある学校の校庭や市営グランドに展開していた第6高射群と違い第3高射群は稚内市内に点在する学校を使っていたので「場所が特定できなかったのではないか」と言うのは第119地区警務隊の推理だ。しかし、第119地区警務隊はこの事案を戦闘と認識している中で捜査と事情聴取を実施しているのでこのまま検察審査会が起訴を決議すれば申立人の主張を認めて立件しなければならなくなる可能性がある。
「誰が考えても運転手と立ち話している同僚を後部座席から猟銃で発砲しようとしたのを見れば即座に銃撃するだろう。銃撃の前に制止しなかった、警告しなかった、威嚇射撃しなかった、足を狙わなかったと言うのは自衛官の犯罪を仕立て上げたい人間の妄言だ。それでも法治国家としては誠実に対応しなければならん」私は独り言で怒りをぶちまけながら自分の北キボールでの現地人3人の殺害を殺人事件として告発された裁判を思い出してしまった。その後、あの裁判と司法試験でお世話になった牧野弁護士には教え子の安川1尉が鈴鹿山脈を越える高圧電線の鉄塔に防護用の指向式地雷・クレイモアを設置しているのを鈴鹿スカイラインから銃撃して逃走した車両を路上で警戒していた隊員が射殺した事案を名古屋市の反戦弁護団が刑事告訴した裁判でも勝訴を勝ち取ってもらった。ただし、反戦弁護団は被告になった安川3曹を任務に参加させないことも目的なので当然のように控訴して2審の名古屋高等裁判所でも時間の浪費のような審理が続いている。新幹線で東京から名古屋まで通ってくれている拘束時間と身体的負担を思うとオランダで安川1尉から相談を受けて紹介したことに少し後悔が残る。
それにしても今回の武力衝突について自衛隊は部隊名や行動については原則として停戦まで秘匿しているはずだが反戦弁護士たちはどのような手段で戦闘の一場面単位の行為を分析して犯罪性を検証しているのだろうか。
戦闘報告については指揮系統を通じて統合幕僚監部に上がってくるが、その時には機密、極秘、秘の秘密区分が付けられて取り扱いは常軌を逸するほど厳格になる。問題はそれが配布区分として内局にもわたることだ。防衛秘密の保護を定める法令は自衛隊を対象にしていて内局は別枠になっている。そのため自社さ連立政権では対領空侵犯措置などの内部規則、悪夢の政権交代では内局の官僚が業務資料として保管していた国産の(アメリカ製は日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法が内局にも適用される)レーダーや艦艇・戦闘機などの性能諸元が中国に流出した。疑わしきは・・・ノーコメント。
  1. 2024/02/19(月) 15:34:52|
  2. 夜の連続小説9
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