fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ741

鹿児島地方検察庁の呂論島に続いて札幌地方検察庁の北海道の公判記録を熟読すると流石に頭が疲れてしまった。本来は軍隊や自衛隊にとっては正当行為=公務である「戦闘」を1つ1つ刑法の違法性阻却事由(刑法上の犯罪から除外される事実)に該当するかを類別した上で警察官の武器使用の手順に則っているかを精査して違法と判断すれば改めて捜査に着手して収集した証拠を鑑識に回して起訴しているのだから担当者に同情するからこちらも慰労してもらいたいものだ。
「新潟地検はまだ調査に着手したばかりだな」大量の分厚い茶封筒の束の下には新潟地方検察庁と印刷されている薄い茶封筒が圧縮されていた。中の書類に目を通すと新潟県内での戦闘が終結した後に派遣された中央警務隊と東部方面隊管内の地区警務隊による捜査の対象になっている事案の説明が一括り、破壊された建築物の所有者=主に県と市、区が損害賠償を請求した民事訴訟の一覧表の2本立てだった。今後、マスコミと反戦弁護団が現地に入ると北海道と同様に自衛隊を犯罪者とする告発が追加されるのは間違いない。民事訴訟にも企業が参戦するはずだが石田政権の対応次第でこちらは回避できる。とは言え万事が対処療法的で後手後手に回っている現状では全く期待できない。
「長岡への弾道ミサイルもロシア軍を提訴するつもりらしいぞ。しかし、ミサイルの着弾を刑事告発しても殺人罪と傷害罪、航空法違反、爆発物取締罰則違反、現住構造物損壊罪、器物破損罪を適用するしかないだろう。どうせなら国際刑事裁判所にしてもらいたいがロシアは加盟していないからな」警務隊が新潟地方検察庁に提出した捜査対象の末尾に長岡市内への弾道ミサイルの着弾と爆発が列挙されているのを見つけて古巣を思い出してしまった。ロシアは1998年7月17日の国際連合全権外交使節会議での国際刑事裁判所の設置に関する採択文書に署名しながら批准しないことを公言している。それは資格もないのに私を検察官に押し込んでくれたアメリカも同様だ。
その国際刑事裁判所の検事部は私とリミッド次席検察官の退任でハリム・カサド・カマド・ハーン首席検察官の新体制に移行したが、私の後任のベルジティーン・アマル大佐はモンゴル陸軍の憲兵と言うこともあって砂漠地帯での行動に熟練していて中東の紛争では抜群の手腕を発揮しているようだ。さらに反中国の立場も隠すことなく国際紛争の裏で暗躍する現地中国系移民や企業の従業員にも厳しい監視の目を注いでいるらしい。
「長岡でやるんだったら敦賀の原発銀座の方こそ告発しなきゃあ片手落ちだ」そう思ったところで机の上のスマートホンがラベルのボレロを演奏し始めた。
私は若い頃、梢と一緒に国際通りの映画館の地下にあるリバイバル専門の劇場で見た「愛と哀しみのボレロ」にはまってしまい、レンタルビデオを借りると冒頭と最後で描かれている天才バレエダンサー・ジョルジュ・ドンの舞踊をダビングして完璧にマスターした。だからこうして聞いていると全身がリズムを取ってしまう。
「はい、モリヤですが」「鬼頭です。実は先ほどとは別の漁船団が下甑島の南端の手打集落に上陸しまして・・・陸上と航空の警備要員が現地に向かったようです」新潟方面を含めて私のところにある記録は過去の戦闘だがこの電話は現在進行形だ。これが市ヶ谷地区で事態を見聞していれば地図で場所を特定し、解説を受けて具体的に理解できるのだがここではかつて勤務した航空自衛隊の教育隊で一緒になった下甑島で勤務している同期が「絶海の孤島に住んでいる」とこぼした愚痴を知識とするしかない。
「随分と広範囲に分散していますね」「海保(海上保安庁)としては我が国のEEZ(排他的経済水域)内でなければ職務権限が及ばないと言うことで差し掛かるのを待って対処しようとしたのですが、先頭を押さえられれば後尾が回避するのは当残で、東シナ海上をチリチリバラバラに航行し始めて鹿屋の哨戒機も追尾に苦労している状況です」中国漁船の航続距離は知らないが黄海から出航すれば奄美諸島くらいは漁場に入るだろう。これに沖縄航空基地=那覇基地の第5航空群も対処しているのなら志織たち嘉手納基地のアメリカ海軍が中国海軍に備えていることになる。
「あッ、続報です。下甑の手打地区で陸自の派遣中隊が全滅しました」「中隊ってことは100人超だな」「は・・・」私の見解に鬼頭3佐は返事をしながら押し黙った。
  1. 2024/02/20(火) 14:43:42|
  2. 夜の連続小説9
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<2月21日・奈良小1女児殺人事件・小林薫の死刑が執行された。 | ホーム | 2月19日・フェアレディZの育ての親・片山豊の命日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/8955-e5ef09ba
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)