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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ763

数週間後、安全保障理事会のアメリカの国連代表大使の後ろの席にノザキ元将補の姿があった。あの夜、政治担当次官はされるままに身を任せながら喘ぎ声を奥歯で噛み締めて漏らさないノザキ元将補の日本女性としての嗜みに燃え上がり、妻と大差がない年齢の肉体を堪能し切った。そうして精魂尽き果てたように眠る政治担当次官の胸に顔を載せながらノザキ元将補は父と離婚して日本に帰った母が職場の妻帯者の男性上司と出張した時、女としての色香を増して帰ってきた姿を思い出していた。
「おはよう」「おはようございます」翌朝、政治担当次官が目覚めるとノザキ元将補が腕の中でこちらを見詰めていた。それでも政治担当次官の挨拶に答えながら恥じらって背中を向けた。こんな仕草に政治担当次官の性欲は再燃焼してしまった。
目覚めの一戦の後、2人はシャワーを浴びたがすでに精力は尽きているので何事もなく身体を洗っただけだった。そしてルームサービスで朝食をとる間に「帰化したアメリカ人として国際連合での活躍の場が欲しい」と希望を述べた。
「アメリカも常任理事国であり、大韓民国の同盟国であるならば日本がその同盟国に行った不法行為に対する懲罰に参加するべきではないですか」北海道に続き新潟方面の戦闘でも敗退したロシアが2国間だけでなく安全保障理事会でも日本への武力制裁への参戦の継続に難色を示すようになると中国はアメリカの介入を阻止するための議事工作を始めた。ロシアとしてはウクライナでの戦闘が長期化して国内の戦力が底をつき始めている中での日本への侵攻は二正面作戦に他ならず当初から断っていたのだ。
しかし、ウクライナ侵攻による西側の経済封鎖を受けても中国が必要な物資をシベリア鉄道で大量に送り、北朝鮮に中国製の兵器だけでなく兵士も派遣させてくれている借りをここで返さなければウクライナでの戦闘が継続できなくなり、ソビエト連邦の復活と言うロシア大統領の野望どころか国家の存立さえも危うくなる。確かに新潟方面に侵攻した部隊も歩兵は北朝鮮軍が主力なので他人のマワシで相撲を取っているようなものだが、ロシアの情報統制は中国ほど完璧ではないので国民の不満が反政府世論に替わる危険性は否定できない。それでも中国は盟友・ロシアの国内事情を理解しているので側面からの策略を講じ始めたようだ。
「確かに大韓民国は日本と同じく東アジアにおける安全保障上、欠かすことができない同盟国です。ただし、それは我が合衆国が目指す国際ルールを基盤とした秩序の維持に貢献することが前提であって裏切ればどちらも同盟国としての資格を喪失します。実際、韓国の前政権当時に発生した日本のジエー隊の航空機に対する攻撃が国際ルールに反する不法行為であったことはアメリカ軍独自の調査で確認しています。したがって中国がこのまま実際は被害者である日本に懲罰と称する武力行使を継続すれば我が合衆国としては日米安全保障条約を発動しなければならなくなり、世界平和に重大な危険をもたらしかねません」アメリカの国連代表大使の答えにイギリスの国連代表大使は深くうなずき傍聴席の記者たちは隣席の同業者と小声でささやき合った。
「もう1つ補足しておくとウクライナ軍が反転攻勢を開始してロシア軍が劣勢に陥ると突如としてパレスチナのガザ地区で戦闘が始まりました。西側は支援せざるを得なくなり、ウクライナへの資金と兵器の供与が滞って結果的に反転攻勢は頓挫しました。この戦闘の発端になったミサイル攻撃に先立ってガザ地区にある中国系の企業や店舗に大量の物資が運び込まれたことを我が国の情報機関は察知しています。またそれらの企業や店舗には電子機器や精密機械、燃料系の技術者が多数中国から送り込まれていることも把握しています。これらの物資が何であったのか、企業や店舗の業務には関係がない技術者たちが何をやっていたのかはここでは言いませんが、常任理事国である中国が同じ手を日本で使おうとするのなら我が国は証拠を添えてこの場に提示します」実際はこの情報を察知したのは中東で活動していた松本だった。松本は東アジア人の風貌・容姿と本間郁子から習った中国語を使って現地の中国人に接近して密着監視を続けてきた成果だった。この説明は日米安全保障条約の発動以上の衝撃を与え、傍聴席が騒然としたため議長がガベル(音を発する槌)を鳴らして静粛を呼びかけた。
  1. 2024/03/13(水) 15:50:13|
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