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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ778

「県庁を建て直すにしてもこれだけ大きな地下を再利用して強度を確保するのは難しいでしょう。埋設する資材と作業量を考えると別の場所に新規建設した方が得策ですね」「なるほど・・・流石は土木の専門家ですね」翌朝、慰霊法要の会場になった県庁の跡地に行くと私たちは法要の前に東部方面隊指揮所の施設幕領の案内で撤去が終わった県庁庁舎の跡地を見学した。そこには地下の階だった巨大な空洞が開いていた。ここにロシア軍上陸部隊は指揮所を置いていて自衛隊の砲撃で倒壊した瓦礫で全滅したそうだ。
「これはかなりの法力を費やさないと慰霊はできませんね」「自衛官とロシア軍の将兵は自宅の葬儀で往生しているようだが北朝鮮軍の兵隊の死霊は怨念を抱いたまま留まっているな」空洞を見回しながら蓮床和尚は野次馬根性丸出しで覗き込んでいる周囲の坊主たちに聞こえるように見解を述べた。それに私は霊能者としての見解で応えたがそれは北海道でも感じたことだった。稚内の警備の隊員は多くのヘリコプターが撃墜された宗谷海峡から呻き声が聞こえると言っていたが、私は東京に戻って市ヶ谷地区の統合幕僚監部で佛教とロシア正教による慰霊法要の必要性を力説した。そこで北海道では北部方面隊の要請で佛教会とロシア正教を中心とするキリスト教会が厳粛な合同慰霊行事を催すと心霊=怪奇現象は鎮まったそうだ。
しかし、自衛隊では東北地区太平洋沖地震で隊員が収容した被災者の遺骸を運ぶ担架に合掌している写真が新聞に掲載されて、それをキリスト教の牧師が「憲法20条で禁止されている国の宗教行為だ」と批判して、それを定例記者会見で新聞記者が杖野官房長官を追求したため挙手の敬礼を徹底されてしまった(頭を下げる敬礼も誤解を招く恐れがあると禁止された)。それだけでなく杖野官房長官は閣議の席で説明したので元鳥取県知事の総務大臣が地方自治体に周知指導して遺骸を安置する霊安所で線香を焚くことや職員の合掌や拜礼まで禁止された。挙句の果てに上司の顔色を覗う職員が立ち会っている時には遺骸と対面した遺族にまで強要して念佛や読経による追悼・慰霊は行われていなかった。ところが加倍内閣は熊本大地震で災害派遣された自衛隊に杖野官房長官と同じ職務だった管(くだ)官房長官が指導を修正して常識の範疇での慰霊行為を容認(黙認?)したから運ばれる遺骸に隊員たちは合掌するようになった。
今回も統合幕僚監部は蓮床和尚の計画の申し入れを受けてこの修正を準用して「OB」限定の宗教団体による慰霊行事を認めたようだ。幸いなことにキリスト教の牧師も含まれているので東北地区太平洋沖地震の時のような反日キリスト教者の批判も回避できる。尤も、マスコミは午後からの村上市内の慰霊法要で取材中にPOM3で殉職した若手記者も合わせて供養すると通知してあるので批判はしないはずだ。
「参列部隊は隣の部隊との整列をお願いします」慰霊法要は県庁の広い駐車場で行われる。駐車場にも砲撃による炸裂孔が幾つも開いているが土を入れて応急処理してある。その広い駐車場に新潟市内の瓦礫の撤去作業に当たっている各施設群と住宅地を中心に新型のPOM3などの対人地雷やブービートラップを排除している各施設大隊が集合していた。その数千人の部隊に東部方面指揮所の幕領の司会が声をかけた。
「第4施設群は基準になる。気をつけ」「第5施設群、気をつけ。第4施設群にならう、右へならえ」昨日、長岡市内の弾道ミサイルによって埋没した地下駐車場の作業現場での慰霊法要で会った第5施設群長が号令をかけた。施設群の第1は北海道の恵庭駐屯地、第2は九州の飯塚駐屯地、朝霞駐屯地にあった第3施設群は廃止されたのでここには参加していない。したがって牽制順位1番の最右翼部隊は神奈川県座間駐屯地の第4施設群になる。以下、新潟県高田駐屯地の第5施設群、愛知県豊川駐屯地の第6施設群、京都大久保駐屯地の第7施設群、第8は廃止、第9は九州の小郡駐屯地で第10が茶山元3佐の船岡駐屯地、福島駐屯地の第11までの6個群に師団・旅団のナンバーを冠した施設大隊が8個大隊だ。その第10施設群の後ろにOD色の懐かしい作業服を着た船岡の工兵OB会が横隊で並んでいるのが見えた。
「東部方面総監、登壇・・・総監に敬礼」「頭ーッ、右」「合掌」台上の東部方面総監の左側に並んでいる蓮床和尚以外の坊主たちは私の号令を無視して顔を方面総監に向けた。
  1. 2024/03/28(木) 16:12:03|
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