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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

第135回月刊「宗教」講座・精進料理教室18時間目

前回は里芋でしたが今回は日本の芋でも山芋です。ただし、山芋には山野に自生する自然薯(じねんじょ)、主に関西で見られる拳大で球形の大和芋(つくね芋、伊勢芋とも言う)、そして店頭に並んでいる長芋などがあります。
田舎にある僧堂では秋になると雲衲たちがシャベルやスコップ、古参になると竹で作ったヘラを持って集まり、裏山で自然薯を掘る作務に励みました。この時、古参は新到(=新人)に「最後まで芋を折らないように掘れ」「絶対に折るなよ」と指導=命令していました。こうして裏山の斜面に分け入ると最初は古参が自然薯の葉を教え、色の変わり方で自然薯の生育度を識別することを指導しながら蔓をつたって芋が埋まっている場所を探させます。その頃には古参や中堅の雲衲が掘り始めているので要領は看取り稽古=見ながらの学習ですが先ずショベルで茎の周りに大き目の穴を掘り、次にスコップで土や小石を除けながら芋を露出させ、続いて穴を深くして芋を露出させる作業を繰り返します。
一方、長芋は青森県でも津軽地方の名産品でした。津軽半島の日本海側は屏風山と呼ばれる砂丘ですが、江戸時代に津軽藩が防砂林として松と背が低い柏(柏の葉は農家の副業として)を植樹したため拡大は止まっています。しかし、痩せ切った砂丘での作物は限られていて砂の上に土を盛った畑でメロンや西瓜を栽培する他は砂地で長芋を作っていました。その作り方は独特で円筒形にした金網を砂に埋めて苗を植えると液体の肥料を撒きながら蔓が伸びて葉が茂るのを待ちます。野僧が農家に「撒いている液体は化学肥料か」と質問すると「絶対に無害なことは保証するが成分は企業秘密だ」と答えました。そうして茂った葉が変色して枯れると収穫です。その方法も独特で砂と一緒に金網の円筒を引き抜き、砂を振り落とせば中には立派に育った長芋が残ると言う寸法です。屏風山のメロン、西瓜と長芋は極上の味なので東京では最高級ブランドになっていて(北海道の十勝メロンよりも高価)これに食べ慣れてしまうと他の地域の長芋は食べ辛くなってしまいます。
そんな山芋は「とろろ汁」以外の食べ方は思い浮かびませんが、禅宗の本山や僧堂での朝食は粥座と言うように粥で、夕食も薬石と呼ぶ腹つなぎなの雑炊です。したがって炊いた飯は昼食の斉座だけなのでとろろ汁はこの1回に限定されてしまいます。おまけに曹洞宗では動物性蛋白質の生卵は入れられません。そんな訳で山芋を使った精進料理を紹介します。

山芋の白煮

材料=山芋・砂糖・塩・昆布出汁

作り方
1、 山芋の皮を剥き、あまり小さくならないように切る。
2、 茹でて滑りを取る。
3、 昆布出汁に砂糖と塩を加えてやや甘めの煮汁を作る。
4、 弱火で温めるようにユックリと煮る。

大和芋と雁(がん)もどきの煮つけ

材料=大和芋・雁もどき・人参・塩・醤油・味醂・昆布出汁

作り方
1、 大和芋の皮を剥き、2センチ角、長さ5センチくらいの拍子木状にする。
2、 弱火で茹でて滑りを取り、保温状態で湯に浸しておく。
3、 人参の皮を剥き、同じように切って手早く茹でる。
4、 雁もどきに熱湯をかけて油抜きして十字型に4つに切る。
5、 調味料を加えた昆布出汁で調理した材料を煮る(人参の赤が引き立つように醤油は控える)。鍋には落とし蓋をして中火で煮立て、コトコトと音がし始めたら弱火にして気長に煮続ける。

零余子(むかご)と白菜の葛煮

材料=零余子(=寒冷な地域で山芋の茎にできる球状の実)、白菜、片栗粉、塩、醤油、砂糖、食用油

作り方
1、 白菜の葉の部分は4センチ角くらいに、茎の部分は2センチと4センチの短冊状に切る。
2、 むかごを水洗いしてから水気を拭き取る。
3、 片栗粉を水で溶いて醤油と砂糖を加える。
4、 むかごを油で柔らかくなるまで炒める。この時、塩を振って下味をつける。
5、 むかごが柔らかくなれば白菜を加えて一緒に炒め、よく火が通ったところで水溶きした片栗粉を注ぎ込んで掻き混ぜながら煮立てる。
※人参やピーマンを加えれば精進八宝菜になる(玉葱は薫野菜なので禁止)。
※味は甘いよりも辛めの方がオカズになる。
135・自然薯自然薯(折れていない)
135・零余子零余子(関東以西ではあまり見ない)
  1. 2024/04/01(月) 16:02:00|
  2. 月刊「宗教」講座
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