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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ785

「よし、やれ」「ラージャ」大原防衛大臣は険しい顔で首を振っている事務次官を一瞥した後、統合幕僚長と顔を見合わせ、単純明解に命令を下した。すると西部航空方面隊司令官は着ているパイロット・スーツに似合う返事をした。
「ホット・スクランブル、ギャオス22、2(ツー=2機)F-2、ベクター(ベクトル=方位)310(310度)、クライム・エンジェル(アルチュード=上昇高度)1タウザンド(1000フィート=約300メートル)、スピード1マッハ、コンタクト・ストレート、チャンネル43、スクォーク(SIF=敵味方識別装置)23ノーマル、オーバー」それから小一時間が過ぎると築城基地に緊急発進が発令された。方位から言えば行先は対島、高度から見てアンノウン(国籍不明機)はヘリコプターだ。
「ターゲット(標的)はコリアンのヘリだ。ボーダー(国境・海栗島の第15警戒隊のコールサイン=仮称)に着陸する可能性もある」「ラージャ、やっと出番が来たんだ。一発かましてやる」「シグナル・ブロー(警告射撃)は許可する」離陸して玄界灘に出たギャオスにストレートの兵器指令官は目標をアンノウンではなくターゲットと呼んだ。しかもターゲットと接触する前から警告射撃の許可を与えてきた。警告を含む射撃の許可権者は航空方面隊司令官(不在時は航空方面隊幕僚長、2人とも不在の場合は航空方面隊司令部防衛部長)なので「既に許可を得ている」と言うことのようだ。
「ビ・アドバイス、ビ・アドバイス、コリアン・ヘリ・フライング・オーバー・ツシマ・ストレイト(対馬海峡上空を飛行中の韓国のヘリに通告する)。ユー・アー・アプローチング・ジャパニーズ・ドメイン・ナウ(お前は現在、日本の領空に向かっている)」数分後、半島南部の泗川(軍の飛行場がある)付近を発進したヘリコプターの航跡が南下して対馬に向かっていることを確認したストレートは通告を始めた。しかし、対馬と釜山の距離は65キロ程度しかないので領海と領空は相互に12海里ではなく3海里にしているが領空侵犯は時間の問題だ。どう計算してもFー2は間に合わない。
「ワーニング、ワーニング、コリアン・ヘリ、ユー・アー・バイオレイティング・ジャパニーズ・ドメイン(お前は日本の領空を侵犯している)、ジャスト・ゲラウト(ゲット・アウト=ただちに退去せよ)」やはり領空を侵犯されたため通告が警告に替わった。すると航空無線に雑音が入り、航空自衛隊と同程度の英語の交信が入った。
「ツシマ・アイランド・イズ・コリアン・テリトリー(対馬島は韓国の領土だ)、フロム・ザ・パースト、トゥ・ザ・ナウ、アンド・ザ・フューチャー(過去から今まで、そして未来も)」ヘリコプターのパイロットの英語力は今一つのようだ。ただし、韓国では対馬に島を付けて呼んでいるのでアイランドを加えたのは韓国式の直訳だ。
「ストレート、ディス・イズ・ギャオス22、ジュディ(捕捉した)・ターゲット・・・タリホー(視認した)・ターゲット、機種はUHー60、オーバー」「ギャオス22、機体信号で築城への強制着陸を命じろ」「ラージャ・・・低速過ぎて失速しそうだぜ」「墜落しないように気をつけろ。下には海自と海保が出張(でば)ってるがな」マッハ1で飛行してきたFー2はレーダーで捕捉して間もなく肉眼でも確認した。こうなると無線による通・警告の続きとして機体信号で強制着陸を命令することになる。強制着陸の機体信号は対象機の前方に出て主翼を上下に振った後、「フォロー・ミー=我に続け」と右に旋回するのだが、UHー60の巡航速度278キロで飛びながら実施しなければ手順として欠格になる。それでもジェット戦闘機にとって時速278キロは着陸時の不安定な状態に近く、それを維持するのはあまり良い気分ではない。
「コリアン・ヘリは無視しました」「よし、これで警告射撃できる・・・ギャオス22、アイ・アム・コマンダー・オブ・ウェスタン・エア・ディフェンス・コマンド(私は西部航空方面隊司令官だ)、シグナル・ブロー」「ラージャ、司令官から直接許可されれば安心して実施できます」ギャオス22の報告を聞いて西部航空方面隊司令官は席を立って航空方面隊指揮所のコンソールに歩み寄るとパイロットに直接許可を与えた。
「シグナル・ブロー・・・ブロー・・・ブロー、3回実施しました」「もう一度、機体信号を実施」「ラージャ」これが日本版反転攻勢の幕開けだった。
  1. 2024/04/04(木) 15:16:55|
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