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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

航空自衛隊怪談集11・浜松基地後編

浜松基地は陸軍航空隊の基地でした。このため滑走路の西端の延長線にある谷間には爆撃機・呑竜が墜落・炎上・爆発して全滅した集落跡がありました。
この場所は浜松基地の飛び地になっていて、現在は基地から出た廃材などを投棄していますが、木立の中には石垣や井戸がそのまま残り、井戸は食器などで埋めてありました。
やはり多くの家族が死んだ土地ですから草木も眠る丑三つ時にパトロールするとヘッドライトに走っていく子供の背中が照らしだされたり、木立の中にないはずの家の灯りが見えたりして、確認のため車を降りると家族の話し声が聞こえたりすることがあるのです。
また南地区の滑走路の付け根にあたる場所には、くぼ地に涌水と小さな祠が祀られています。三方ヶ原の合戦の時、このくぼ地に隠れていた徳川方の武士が討たれ、湧水で首を洗ったと言う伝承がありました。
夜には首がない鎧武者の幽霊が現れ、「水・・・水をくれ」と懇願されるから入ってはいけないと言うのですが、基地に侵入しようとする者にとっては管制レーダーが間近にある潜伏適地ですから警戒していました。
どんな怪談があっても基地を守る警備小隊はパトロール(巡察)しますが、教育隊から配置になって警衛に初上番した新兵さんたちはここで恐怖体験することになるのです。
そんなコワイ話を巡察に行くまで散々に聞かされた後、くぼ地に差し掛かると空曹のドライバーが車を止め、「首なしの武士がいないか見てこい(不審者と言わないところがポイント)」と命じ、新兵さんは何故か小隊長(野僧)が「暗記しろ」と教えてくれた不動明王の真言を唱えながら下りて行きます。するとその間に車はヘッドライトを消して50メートルほど進んでいて、戻ってきた新兵さんは半分べそを掻きながら走ってきました。
次に谷間地区に到着するとドライバーが突然、「今、人がいたな」と言います。そして「見てこい」と命ぜられて新兵さんはコワゴワ車を下り、懐中電灯を片手に歩きだすと、突然、ヘッドライトが消え、無灯火のまま車はバックして行くのです。これで気の弱い奴は泣きます。
これで済めばいいのですが、態度が悪い新兵には念を入れて、くぼ地に銃剣道の胴をつけて頭から黒い袋をかぶった隊員が待っていたり(懐中電灯で照らすと首のない武者に見える)、谷間地区に数名で隠れていて新兵が下車した途端に大声を上げるなどで脅かすのですが、警備の隊員たる者は幽霊など物ともせぬ胆力がなければ務まりませんから、小隊長公認の肝試しでした。心霊スポットで待ち伏せしている先輩たちの方が怖い?それをやらせる小隊長はもっと恐い?
一度、巡察車両の後席に隠れていてイキナリ首を締めたらパニックになったため、これは禁止しましたが。
  1. 2013/08/13(火) 00:42:59|
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