fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

航空自衛隊怪談集14・車力分屯基地

車力分屯基地は津軽半島の中央、十三湖の畔で屏風山と言う砂丘の上にあります。
昭和55年の設立ですが、それは昭和52年のビクトル・ベレンコ中尉が操縦するミグ25戦闘機による亡命事件が理由でした。
この時、千歳からFー4EJファントムがスクランブルに上がったのですが、マッハ3以上とも言われるミグ25に追いつくことができず、函館空港への着陸を許してしまい、その対策として航空自衛隊は新たな地対空ミサイル・ナイキJの部隊を津軽海峡の両側、北海道の八雲と車力に創設することを要求し、予算手続き通り3年後に執行されたのです。
しかし、ミグ25は高速ではなく、地上レーダーが捉えにくい低空を飛行してきた上、ルックダウン能力に劣るFー4EJは発見できず、探しているうちに領空を侵犯されたのであり、高高度の目標に対処するためのナイキJでは何ともならないことが判りました。
そこで航空自衛隊はナイキ部隊にアメリカで実施させている年次射撃(ASP)をここで実施することを検討したのですが、「アメリカに官費旅行できなくなるとナイキの希望者がいなくなる」と言う情けない理由で高射幹部が反対し、沙汰やみになりました。
現在は米軍のXバンドレーダー(AN/TPYレーダー)部隊が配置されて防衛上の重要拠点になっていますが、それ以前は存在理由も不明確な(防衛計画でも全く違う地域へ移動することになっていた)、僻地と寒冷地手当てをもらうだけの部隊でした。
そんな新しい基地ですから怪談などはなさそうですが、不思議に死者が続いていて、ある幹部は出来島(地名は何と「できしま」)の海水浴場で溺死し、別の若い隊員は基地の外の藪の中で首を吊り、さらに野僧の同期も官舎で自死しました。
野僧が赴任した夜、夢枕にその同期が立ったのですが、何故か腹部と両手、下半身が血塗れで、「どうしたんだ?」と訊くと「包丁で腹を切ったが死に切れず、ベランダから飛び降りた」と答えました。事故報告では飛び降り自殺と書いてあったので不思議に思い、翌朝、古手の隊員にその件を訊くと「何で知っているんですか?それは秘密のはずですが」と驚き、「御本人が教えたのなら」と顛末を説明してくれました。
ところで十三湖には昔、十三湊(とさみなと)と呼ばれる都があり、源頼義、義家父子に滅ぼされた安倍一族と同族の安東氏が水軍を作り、蝦夷地や朝鮮半島などとも直接、交易をして大いに栄えていたのです。
ところが奥州藤原氏を滅ぼした後に入った源氏一派の南部氏はこれを執拗に攻め、南北朝の頃には地震による津波で水没し、10万人の死者を出して滅びてしまいました。
このため屏風山には十三湊から逃れて討たれた落人の亡霊が出て、徒歩通勤していた野僧は残業で遅くなると首のない幼子や強姦されたらしい乱れた着物姿の女性に会いました。
しかし、何よりも野僧は厳寒の夜道で雪女に出会ったのです。
それは月明かりの夜道のことで、突然、つむじ風が起こり、そこに白く長い髪を振り乱した白い着物の美しい女性が立ち、ゆっくり手招きをしていました。真っ白い顔に唇だけが赤く、鉄漿(おはぐろ)をした口許で妖しく笑っていましたが、抱きつこうと手を伸ばしてきた瞬間、念佛を唱えると「アッ・・・」と大きなため息をついて消えてしまいました。
すごい美人でしたから(稲森いずみさんタイプ)是非とも抱いてみたかった。せめて口づけだけでも・・・今夜も氷の唇が僕を奪い(甲斐バンド)。
                                             
野僧は若い女性の幽霊なら抱いたことがありますが、冷たくて手応えのない不思議な感じです。乳に触れても(=揉んでも)弾力も何もありません。一度試してみて下さい。

お後がよろしいようで。おしまい。
  1. 2013/08/16(金) 10:21:47|
  2. 航空自衛隊怪談集
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<8月22日・島崎藤村の命日 | ホーム | 航空自衛隊怪談集12・入間基地&13・府中基地>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/942-23254d31
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)